タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

ツバメの新年度が始まった

 今朝のウォーキングで今年初めてツバメを見た。しかも、5、6羽飛び交っていたので、南の国から最初の一団が到着したのであろう。川面すれすれに滑空したかと思えば急上昇し、青空へ吸い込まれるようにして点となった。ツバメの先発隊はオス中心に構成され、目的地に着いてからは営巣地を探し、メスを受け入れる準備をする。今日見たツバメも、速くて強くて元気なオスたちだったのであろう。
 少し遅れてメスたちや昨年生まれた若鳥が到着する。そこで、気の合ったオスとメスがつがいとなり愛を育む。つがいは、昨年のパートナーと同じ組み合わせであることもあれば、異なることもある。ツバメの寿命は2,3年であるから、生まれて2年目で晴れてつがいになっても、次の3年目で双方とも生き永らえている確率は50%である。生き延びた方の50%は、新しい伴侶とつがいになるのである。
 ツバメの日本における最大の達成目標は、子孫を作り育てることである。メスは5,6個ほど卵を産み2週間ほど抱卵する。孵化した雛は3週間ほどで巣立ちする。巣立ち後の雛はしばらくの間は親から給餌を受けるが、1,2週間して自分で餌が捕れるようになるとヨシ原等で親鳥と共に集団となって過ごす。このようにして、ツバメの日本における滞在期間の中で、前半は家族の営みの中で過ごし、後半は集団の中で一羽の鳥として過ごす。夏の間、南へ渡れる体に成長したツバメは、9月~10月になると体内に分泌されるホルモンの影響で、南へ渡りたい心が無性に疼き出す。そしてある時、意を決して、脳裏に浮かぶ磁力線の方向へと飛び出していく。ツバメの1年は、このようにして、新年度が始まるように日本での新しい生活を始め、上半期が終わるように日本生活を終了し、下半期は南の国で過ごす。ツバメが人家の軒下に巣を作るのは、天敵を避けるためである。別に人間が、ツバメに好かれているわけでもないが、嫌われてもいないだろう。これからもずっと共存したい生き物の一つである。