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田舎の年金暮らしのたわごと

竹島問題

 今日2月22日は「竹島の日」である。竹島は(鬱陵島も含めて)江戸時代初期から日本人が漁猟に従事し領有権を確立していた島であり、あしかやあわびの漁獲の好地として、鳥取藩の町民が同藩主を通じて幕府から渡海免許を受け利用していた島である。その後竹島は、1905年2月22日、明治政府の閣議決定を経て島根県編入された。
 
 このようにして、古来、日本固有の領土である竹島は、現在韓国に不法占拠されている。こんな状態が生まれたのは、第二次世界大戦以降のことである。
 1951年9月に調印されたサンフランシスコ平和条約には、日本が朝鮮の独立を承認するとともに、放棄すべき地域に「済州島(さいしゅうとう)、巨文島(きょぶんとう)、鬱陵島(うつりょうとう)を含む朝鮮」が規定されている。そして竹島は放棄すべき地域に入っていない。これに先立つ同年7月、韓国は米国に対し、「日本が放棄すべき地域に竹島を加えて欲しい」と要求したが、米政府は、8月にラスク国務次官補発の書簡で、竹島は朝鮮の領土として扱われたことはなく、また、かつて朝鮮によって領有権の主張がなされたとは見られない旨を回答し、韓国側の主張を明確に否定した。つまり、第二次世界大戦の戦後処理において、竹島が日本領土として確定したことになる。

 サンフランシスコ平和条約調印から4ヶ月となる1952年1月、李承晩韓国大統領は「海洋主権宣言」を行って,いわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定し,同ラインの内側の広大な水域への漁業管轄権を一方的に主張するとともに、そのライン内に竹島を取り込んだ。その後、同年2月には日本船が韓国側から銃撃され船員1人が死亡、3月には最初の拿捕船が出るに至った。その後も韓国側からの拿捕が続き、1954年6月には,韓国沿岸警備隊竹島駐留派遣が発表された。同年8月には,竹島周辺を航行中の海上保安庁巡視船が同島から銃撃され、これにより韓国の警備隊が竹島に駐留していることが確認されるに至った。
 韓国の国家権力が日本漁民に襲い掛かり、日本政府は国民を守ることができなかった。そしてこの状態が今も続いていることになる。
 韓国では、この島を「独島」と呼び、韓国固有の領土と主張している。いくら古い文献を出してきて、「昔は朝鮮の領土であった」と言ったって、最新のサンフランシスコ平和条約にて竹島は日本領と決まったのだから、国際法上は竹島はあくまでも日本領なのだが、公平を期すべく、韓国人が何を根拠に「独島は韓国領」と言っているのか調べてみた。

 上は日本の内閣官房が出している「韓国の主張を見てみよう」からの抜粋である。韓国はどうも、鬱陵島の傍に「于山島」という島があって、この于山島が竹島を意味しており、江戸時代前の李氏朝鮮の時代から、竹島は朝鮮領だったと主張したいみたいである。ただ、この主張には随分無理がある。
1. 「独島」という名がこの文献には見当たらず于山島が独島を意味するか定かでない
2. 別の文献には于山島が記された地図があり、竹島とは位置関係が全く異なる
  以下、別の文献:八道総図

 これだけ証拠が揃っているのだから、出るところに出れば(国際司法裁判所で審議されれば)竹島が日本領と判定されるのは確実である。そして負けると解っているから、韓国政府は、日本政府からの国際司法裁判所への共同提訴の依頼を拒み続けている。
 さて、ここで不思議に思うのは、日韓基本条約が締結され(1965年)韓国への多額の援助が決まった際、竹島問題はどのように扱われたかである。調べてみると、2点の取り決めが為されたと分かった。
 1.李承晩ラインの撤廃
 2.日本国と大韓民国との間の紛争解決に関する交換公文の取り交わし
日本人は、1の李承晩ラインが撤廃されれば、竹島近海での漁業は自由にできると思ったに違いない。しかしそうはならなかった。韓国の言い分は、「李承晩ラインの撤廃と竹島が韓国領であるという主張は何等矛盾しない」である。つまりこれは、韓国領近海の排他的経済水域で日本船が漁業をしてはいけないことを意味する。
 次に2の交換公文の中身だが、
「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によって解決を図る」
と書いてある。日本政府の理解は、この合意の対象に「竹島問題」が当然含まれるとなるのだが、韓国側は「紛争は存在せず、どの国とも外交交渉又は司法的な解決の対象にならない」との立場に立っている。
 韓国とは、全くもって厄介な国である。いわゆる慰安婦問題においても、「最終的かつ不可逆的」という文言で釘を刺したにもかかわらず、政権が変わって直ぐに蒸し返した国であるから、条約文が曖昧だと好き勝手に解釈し、日本人の思い通りにはならないのである。
 さて、韓国にも良識ある人々がいるのだから、こういう事実に基づいて判断するなら、竹島は日本領であり、今韓国はこの日本領を不法に占拠していることに気付くはずである。ただ韓国では、それ(竹島は日本領)を言うと売国奴と罵られ迫害されるので、沈黙を決め込むことになる。
 一方日本では、大半の人が竹島という名も知らず無関心である。ということで、韓国の戦略は、「日本人の無関心に乗じて竹島をあまり波風立てないように実効支配する。実効支配を100年も続ければ竹島は韓国領になる」となる。日本も戦略的に行動すべきであるが、日本人の竹島問題への関心度と韓国人の独島への情熱を天秤に掛けると、「理でもって情を制する」作戦は上手くいかないと思われる。日本にとっては、要は安心して漁業ができればそれでいいのではなかろうか? と思ったりもする。