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田舎の年金暮らしのたわごと

全銀システム障害の真相

 5日前の10月10日に全銀システムに障害が発生し、一部の取引が混乱して銀行間送金が2日間にわたり停止した。今日は全銀システム障害について調べてみた。
 まず、全銀システムは、銀行間取引を仲介し、銀行間送金を可能にしているシステムであるが、これを可能にすべく当システムは、各銀行のシステムとネットワークを介して接続する形となっている。今回の障害は、全銀システムの第7次システム更改(2019~)の中で起きたもので、各銀行との間のトランザクション(取引処理)を中継するRC(リレーコンピュータ)の更改において、新規ソフトウェアにエラーが発生し障害に至ったと言われている。

 上図は、今回の障害の概要を表している。全銀システムは、ここまで7回もの更改を経て順次レベルアップしてきており、例えば、銀行間取引が24時間365日可能になるような改善も重要な機能アップ項目と見なされている。今回、10月7日からの三連休でRCのリプレイス作業が行われたが、中身のソフトウェアもRC17からRC23に更新され、機能面の拡充や柔軟性の強化が織り込まれた。ところが、このソフトウェア変更の中の「手数料のチェックプログラム」にエラーが発生し今回の障害に至った。

中身の作りは50年前のまま
 この全銀システムは1973年に構築された古いシステムである。7回ものレベルアップが実施されてきたが、コアの部分は50年前のままである。以下にその古さ故の問題点を挙げる。
-1. ホストコンピュータ(メインフレーム)で稼働するシステム
 今から50年前、コンピュータと言えばIBMの独壇場であり、この全銀システムもこのIBMのホストコンピュータ上に構築された。このホストシステムは元々IBM製品で全て(ハードもソフトも)構成されているクローズドな仕組みであったため、今の時代の要請である「オープンな仕組み」に対応できていない。全銀システムの最大の課題は「ホストシステムからの脱却」であり、これを通じて、安価で運用できる仕組みに生まれ変わり、時代の変化にスピーディに対応できるようにすることである。
-2. プログラムがCOBOLで書かれている
 今から50年前、技術系のプログラムはFORTRAN、事務系のプログラムはCOBOLで書かれていた。今現在、そんな古いプログラム言語を理解できる技術者はほとんどいなくなってしまった。そしてこの状態は、プログラムを時代の要請に応じて変更することが困難になってきたことを意味する。

 このようにして、全銀システムは、時代のニーズに応えながら2つの課題に対応すべく今後もシステム更改を進めて行くことになる。そしてこれは「いばらの道」が続くことを意味する。