タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

フロー経済とストック経済

 昨日のブログでは、「フロー経済」と「ストック経済」という言葉を使って、経済には2つの切り口があることを示した。今日はこの2つを更に深掘りしたい。
1.企業経営におけるフローとストック
 企業が出す決算書には、フローとストックそれぞれに関しての指標項目が記載される
 フロー :損益計算書(P/L 収益/費用)
      キャッシュフロー計算書(C/S 収入/支出)
 ストック:貸借対照表(B/S 資産/負債)
企業経営においては、フロー指標が「儲かり体質」であるか否かを示し、ストック指標が「経営の健全性」を示す。経営の健全性の度合いをざっくりと分類すれば、以下となる。
 ① 健全経営
 ② 自転車操業(儲けのほとんどが債務支払いと運転資金に充てられる)
 ③ 債務超過 (負債が資産を上回っている)
2.フロー経済とストック経済
 昨日のブログで「GDPはフロー経済の指標になるがストック経済を反映するものではない」と言った。下図は、日経平均株価の変化を表しているが、株価は年初に比べおよそ23%も上昇している。株の売買はストック経済の代表格となり、この「株」と「不動産」がストック経済の代表アイテムとなる。

-1. 株が上がっても一般庶民(働き世代)への恩恵は限定的
 株が結構上がっても、一般庶民の景況感はちっとも上がらない。これは、一般庶民の金融資産のほとんどが現金・預金であるからである。因みに私は、元働いていた会社の「持株会制度」を利用して自社株を購入していたので、そこそこの株主になっている。そしてその株が円安の影響もあり、年初に比べ49%も上昇しているので、評価額は随分増えている。多分ストック経済においては、働き世代より高齢者世代の方が裕福なのであろう。一方でフロー経済においては、収入が指標となり、高齢者世代よりも働き世代の方が裕福だと言える。
-2. ストックアイテムは評価の変化により価格が上下する
 株価は企業価値の代表的な指標となる。その株価が、日本の企業を総じて平均して上がっている。他国の株価がさえない中で日本の株価が上がっているのは、日本企業の評価の見直しがあったからであろう。見直したのは日本人ではなく海外のトレーダーだと思われる(海外からの買い越しで株価が上がり始め、その後日本人も買いモードに入った)。
-3. ストックアイテムはバブルを引き起こす
 今から30年ほど前、株価がピーク(1989年12月)に達したあと 下落を続け、それから数年後に土地価がピークに達したあと急降下しバブルがはじけた。バブルがはじけて、金融機関が大量の不良債権を抱え込むことになり、政府は公的資金を注入しながら、この不良債権処理に十数年要した。
 バブルはストックアイテムの過大評価によって引き起こされる。当時、「日本の土地でアメリカ全土の土地が買える」と言われたが、バブルがはじけた後、そんな過大評価が明らかに間違いだったことが分かった。
 ここへ来て、中国の不動産バブルがはじけ始めた。公的資金注入の気配もなく、不良債権認定の気配も見えない。日本への影響は少ないと思われるが、結婚するため高値のマンションを購入した中国人男性が(中国では家を持っていないと結婚候補から外される)、完成前(中国ではマンション建設がある程度進んだ時点で売り出す)にして業者が倒産し、途方に暮れる姿を想像すると、何とも言えない気持ちになる。