タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

暑い日になぜ暑いか考える

 今朝起きてから、一晩中つけっ放しだったエアコンを止め、1階のリビングまで降りてきたら、壁掛けの気象モニターの気温が29.9℃と、朝の気温としては今まで見たこともないような値を示していた。窓を開けて外気を入れたが、気温は29.0℃で下げ止まりになった。
  
 上図は今朝6時の天気図である。日本列島は強い太平洋高気圧に覆われていて、今日も安定した晴天の中、気温も昨日と同じか、それ以上に高くなると予想される。こんなに強い高気圧になる原因は、図の左下の台風5号にある。天気図の中で高気圧を山、台風を穴だと見立てて、台風が空気の穴を掘っている様を想像すると、高気圧が強くなる理由が理解できる。台風が掘り上げ、上昇気流となって巻き上げられた空気は、上空の偏西風に流されて東に移動し、太平洋高気圧の上空(山の上)に降り積もることになる。つまり、台風が強い太平洋高気圧の育ての親になるわけだ。
 次に、強い高気圧がどの程度暑さの要因になっているかを考えてみる。高校の物理で気体の状態方程式を習ったが、
 PV=nRT(P:圧力、V:体積、T:絶対温度、n:モル数、R:定数)
と書ける。この式は、体積が一定なら、圧力と温度は比例の関係にあることを示している。我が家の気象モニターには気圧も表示されるが、梅雨明けした5日前、1010 hPaであった気圧が今日は1015 hPaへと1.005倍に強まっている。これを単純に、圧力が1.005倍になったのだから温度(絶対温度)も1.005倍になっていると仮定して計算すると、温度が25℃(絶対温度298K)の場合、1.005倍の空気は、26.5℃(絶対温度299.5K)まで上がることになる。
 上記計算では、強い高気圧がもたらす気温上昇効果は1.5度程度となるが、実際はそれ以上の温度上昇となる。ポイントは、台風による亜熱帯から温帯への熱の移動である。台風は、亜熱帯の高い海水面温度の領域の空気を上昇気流に乗せて巻き上げるが、空気が上昇し雨となる過程で、水蒸気が持っていた熱は凝縮熱となって空気へと移動する。そして、このように暖められた(正確に言えば、凝縮熱を得て、高所まで上昇した割には冷え方が少なかった)空気が太平洋高気圧の上空に降り積もることになる。つまり、太平洋高気圧は、亜熱帯から移動した熱で上空から暖められることになる。そして、この暖められた空気が下降気流となり、その過程で断熱圧縮され熱風となって日本列島に降りかかる。これがここ最近の暑さの主な要因である。この暑さは当分続きそうだ。