タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

消費者物価上昇


 世間では玉ねぎの値段が上がっていると言われている。写真は納屋の入り口の様子だが、先月末に収穫した玉ねぎがまだ沢山吊るされている。この半月余りで小さ目の玉ねぎを結構な数食べて来ているが、見ての通りまだ相当数残っているので、玉ねぎの値上がりは我が家の家計には全く響かない。物価が上がっているということなので調べてみた。

 上表は4月時点の消費者物価指数上昇率(前年比)を示している。総合指数で2.5%の物価上昇となっているが、生鮮食品およびエネルギーを除くと僅かに0.8%の上昇となっている。私は、オイルショックの翌年(1974年)から東京の学生寮で寄宿舎生活を始めたが、その当時は狂乱物価と言われ消費者物価上昇率は20%を超えた。仕送りが増えずに物価だけがどんどん上がる状態だったが、そんな中でも楽しく笑って生きて行けたので、高々数%台の物価上昇率にはびくともしないし、きっと不感症になっているに違いない。

 上図は米国の物価上昇率のこの1年間の推移を示している。先日、5月度の統計値が発表となり、上昇率が 8.6%と下降期待に反する結果となった。そしてこれを受け、米国金利の再利上げ観測が高まり、株価は大幅に下落した。また、日米の金利差が更に拡大する観測になったことから、為替レートが更に円安となり、昨日はとうとう1ドル=135円台になってしまった。
 この厳しい経済状況の中で、先日、日銀総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」との発言が非難を浴び、国会で陳謝し、発言を撤回するという事態に至った。値上げ許容度とは何か気になり調べてみた。

 上図は東大の渡辺努教授が発表した資料からの抜粋で、今回の日銀総裁発言の元となったものである。このアンケートの設問で「馴染みの店で馴染みの商品の値段が10%上がったときに、どうするか」と尋ねられ、「"その店でそのまま買う" と回答した人の割合が昨年8月の43%から今年4月には56%へと上昇した 」、これを以って「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したようである。値上げ許容度という表現はまずかったかも知れないが、経済専門用語で ”値上げ許容度" という言葉を使うのであれば、この発言に落ち度はない。もちろん、言葉尻を捕らえて「許容した覚えはありません」とか「庶民感覚が無い」とかと庶民が非難するのは自由だが、国会議員が、黒田総裁に「買い物したことがありますか」と質問したのは頂けない。マクロ経済での発言だったという点が全く解ってない。他人の粗探しばかりせず、もっと経済学を勉強し、どこが問題かを追求しないと、日本の経済は良くならない。

P.S. 6/16
 米連邦準備制度理事会FRB)は15日、政策金利を0・75%引き上げると決めた。0・75%の大幅利上げは1994年11月以来、27年7カ月ぶりだそうだ。円安が更に進むことになるのであろうか?