東京オリンピックまであと1ヶ月

 東京オリンピックまであと1ヶ月となった。20日前のブログ(6/3ブログ)では、「まだオリンピック中止派が6割だが、その内、掌返しで賛成派が多数になるであろう」と予想していた。最近の世論調査によれば、「無観客による開催賛成」を含めれば、開催賛成派が半数を超えた。私にとっては予想通り、政府や東京都にとっては予定通りというところであろうか。
 それにしても、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、強い警告のメッセージを発信続けている。感染症専門家としての信念を示しているので、これはこれで良いと思う。一方で私が残念に思うのは、『それなら経済の専門家は分科会で何と発言しているのか?』という点である。経済の専門家は純粋に経済の観点から、「緊急事態宣言により、日本のGDPは**%下がり、失業者は何人増え、自殺者は何人増えた」と事実を忠実に言って欲しいのである。具体的に「オリンピックの観客動員数と野球やサッカーの動員数は同程度であり、野球やサッカーの方は今までの感染対策によりクラスターが発生した報告はない」と感染症専門家が言えない意見を表明して欲しいのである。
 感染症の専門家から、「オリンピックは無観客開催が望ましい」と言う意見が出るのは当たり前の話であり、それは、「感染拡大阻止」を至上命題として、人流を止め、飲食を止めることを必達と考えているからである。ところが、ここで一度立ち止まり再考しなければならない点は、本来の至上命題は「死者数の最小化」であって「感染拡大阻止」ではない点である。この分科会は、目的を感染拡大阻止としているから、提言が間違ってくるのである。ワクチン接種が進むにつれて、新型コロナが「ただの風邪」に変わっていく。そうなるといよいよ、「死者数の最小化」と「感染拡大阻止」が異なることであることがはっきりしてくる。もし新型コロナがただの風邪になれば、東京都で1日2000人の感染者が出ようが、問題無くやり切れるのである。感染者数がリバウンドしてもびくともしない、重症者がこの程度なら医療の逼迫はないから死者数は極端には増えない と判断できる。
 もちろん、ここにおいてもう一つ大事な観点がある。死者数の多寡の評価である。日本では肺炎により毎年10万人程度亡くなっている。これは新型コロナ感染症の死者数のおよそ10倍になる。この辺りの事情が理解できているなら、感染者数がリバウンドして、年間死者数が1万人から1割程度上回りそうとなったとしても、その多寡を数量的にきちんと評価できるのである。
 ただ、これから7月に入り、間違いなく感染者数はリバウンドして増えていく。ワクチン接種率がまだ十分高くないので、重症者数もそれなりに増えると思われる。無事この難局を切り抜けることができるかどうかは微妙なところである。首相は、再度緊急事態の発出に至ればオリンピック無観客開催も止む無しと言っている。妥当な判断であるし、こう言わざるを得なかった。一ヶ月後にどうなっているかは私にも全く分からない。