タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

嗅覚の進化-1

 先週から感覚の進化として、視覚(色覚)、味覚、温覚(辛味)、聴覚の進化を調べてきた。今日は嗅覚の進化を調べた。f:id:TatsuyaYokohori:20220311133235p:plain
 上図は、ヒトがどのように「におい」を感知しているかを示している。嗅神経細胞の先端にある嗅覚受容体に におい分子が結合すると電気信号が発生し、この信号が脳の出先器官である嗅球内の糸球体を経て脳まで伝達され「におい」が感知される。
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 上図は、におい分子と嗅覚受容体の関係を示している。嗅覚受容体は におい分子の一部に結合する。上図の例で、におい分子ⅠはA受容体にもB受容体にも結合できる部位を有している。このようにして、におい分子と嗅覚受容体との関係は1対Nの関係になる。
 ヒトは約400種類の嗅覚受容体を有する。これは、色覚受容体の3種類、味覚受容体の5種類に比べて圧倒的に多い。この受容体の種類の多さが、嗅覚の評価や言語化を難しいものにしている。
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 上図は、2種類の受容体からの情報が、個々の受容体の脳でのそれぞれの評価の合成として知覚されることを示している。
 2004年のノーベル医学生理学賞は「多種類のにおいを感じる仕組みを解明」したアメリカのリチャード・アクセル博士とリンダ・バック博士に授与された。受賞理由は、
 1.においの受容体(タンパク質)を作る遺伝子を特定したこと
 2.1つのにおい分子はいくつもの受容体に反応することを発見したこと
であった。ヒトは約400種類の嗅覚受容体を有するが、これに対応して嗅球には約400個の糸球体が並んでいる。ヒトが臭いを嗅いだ際、この400個のON/OFF情報が脳に伝達され、ヒトはこのON/OFFのパターンにより臭いを識別し、良い匂いか忌避すべき臭いかを評価している。

 今日は、嗅覚の仕組みを書いただけで終わってしまい、嗅覚の進化まで書けなかった。ただ、キーとなる嗅覚受容体やそれを産み出す遺伝子について調査できたので、進化については別途続編として著したい。