タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

眼の進化

 今日は眼の進化について調べてみた。チャールズ・ダーウィンは『種の起源』の中で、自然選択によって眼が進化したと考えるのは一見したところ「このうえなく不条理のことに思われる」と書いた。しかし彼は、それを想像することは困難であっても完全に可能なことである、と説明を続けた。確かにダーウィンが言ったように、眼という複雑な構造が、自然選択による進化の結果として形成できたとは私にも信じられない。f:id:TatsuyaYokohori:20220228132755p:plain
 上図は各動物の眼の構造を示す。これを見ると、眼は様々な構造へと進化しており、眼の進化の出発点がどんなものであったか想像できない。ただ、出発点は一つかも知れないが、様々な枝分かれがあったことは確かである。
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 上図はミドリムシの器官を示している。ミドリムシには光を感じる眼点があり、感じた光に応じて鞭毛を動かし移動する。これが眼の原点だと考えられる。

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 上図は扁形動物であるプラナリアの眼を示している。左右一対の眼を持つことで光の方向を感知でき、その方向に応じた運動ができるようになった。プラナリアの眼は構造的には、体表面の窪みに視細胞と色素細胞の2種類の細胞が配置されて、視細胞は光を受容する感桿と脳への突起(視神経)を備える形となっている。
 眼の進化は脳の進化と連携している。眼という光情報受容器官を備えただけでは、生存競争への武器には成り得ない。この情報を処理し運動神経へ伝達する脳神経系の進化があって、初めて生存競争の武器と成り得る。
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 上図はプラナリアの脳神経系生成遺伝子の一つであるnou-darake遺伝子が、旧口動物と新口動物に分岐する前に存在していたことを示している。プラナリアは前後軸のどこで二つに切っても、前側からは尾が生え後ろ側からは頭が生えて、2個体に再生できる動物である。このプラナリアで発見されたnou-darake遺伝子は、頭部だけに脳を作ることを指令する遺伝子であり、この遺伝子の機能が阻害されると、頭以外にも脳が形成される。
 ヒトの祖先とプラナリアの祖先を過去に辿っていくと、三胚葉動物の祖先が共通の祖先となる。この時からプラナリアはあまり進化せず、現在もその姿を残していると思われる。従って、ヒトを含めて、脊椎動物節足動物も眼の最初の姿はプラナリアの眼のような単純な構造であったと想像する。f:id:TatsuyaYokohori:20220228141019p:plain
 上図は眼の発生の様子を示している。最終的(上図右端)には随分複雑な構造となるが、今日はプラナリアの眼(上図(C))ぐらいの進化までしか考察できなかった。この先の進化でレンズ(水晶体)もできれば角膜もできたのであろう。明るさばかりでなく、色も知覚できるように進化したのであろう。これらのその後の進化については、今後の継続調査課題としたい。