タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

PCR検査

 昨日で北京オリンピックが終わった。オリンピックの開会式では、閉会の頃にはオミクロン株はもう収束の途にあると思っていたが、今日現在、感染者数は思ったほど下がっていないし、重症者数、死者数は高止まりで推移している。今日は今更ではあるがPCR検査について調べてみた。
1.DNAとRNA
 まず、新型コロナウイルスはRNAウイルスであるが、DNAとRNAについて確認しておく。f:id:TatsuyaYokohori:20220221115120p:plain
 上図はDNAとRNAの構造を示している。DNAは縄ばしごを捩って螺旋にした形をしており、このはしごの踏み板のところが塩基対となっている。一方でRNAはDNAを塩基対の結合部で分離した形となっている。RNAやDNAが遺伝情報を保持しながらコピーできる理由は、この塩基が4種類(Adenine,Thymine,Guanine,Cytosine)と決まっており、かつペアを組む相手が決まっている(AdenineとThymine、GuanineとCytosine)からである。
2.PCR検査
 まずPCRPolymerase Chain Reactionの略で、日本語に訳せば「ポリメラーゼ連鎖反応」となる。ポリメラーゼとは、DNAやRNAをコピーする酵素であり、従って ポリメラーゼ連鎖反応 とは、DNAやRNAを1本から2本、2本から4本へと連鎖的に倍々に増幅させる反応である。そしてPCRとは一般に、この連鎖反応により、DNAサンプルの特定領域を数百万倍から数十億倍に増幅する技術を意味する。因みに2の20乗がおよそ100万、2の30乗がおよそ10億である。
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 上図はPCR法の原理を示している。PCR法には3つのステップがあり、この3ステップを何回も繰り返す。
ステップ1:高温にしてDNAの2本鎖を分離させる
ステップ2:温度を下げると、増幅したい部分の起点となるプライマ(注)がくっつく
ステップ3:ポリメラーゼ(複製酵素)により4種類の塩基が次々と繋がって行く
(注)プライマとは、増幅させたい領域の先端に付くように作られた人工DNAである。(例えば、新型コロナウイルス増幅では、「スパイク蛋白質の100番目アミノ酸位置から増幅したいので、プライマの塩基配列は***とする」というように設計し作成する)f:id:TatsuyaYokohori:20220221115859p:plain
 上図はリアルタイムRT-PCR法の原理を示す。まずRTとはReverse Transcriptionの略で、逆転写を意味する。新型コロナウイルスはRNAウイルスであるので、RT工程で逆転写によりDNAを作成しておき、その後PCR工程に進む。このリアルタイム方式では、試薬を入れ、その試薬の蛍光量をリアルタイムに表示する。検知したい塩基配列が増幅されればされるほど蛍光量も増すので、蛍光量が基準を越えたことをもってリアルタイムに陽性判定できる。