今日はオミクロン株の行く末を考えた。
上図は新型コロナウイルス変異株の系統樹である。これを見るとオミクロン株の出自が、これまでのα、β、γ、δ株とは異なり、かなり早い時期に分岐した全く別系統のウイルスであることが分かる。このグラフは、円の中心からの距離が変異数を示しているが、オミクロン株だけが途中で分岐せず、大量変異を溜め込んで突然検出された形となっている。これはこの株が、狭い閉空間で時間を掛けて変異を溜め込み、ある日突然世に出て来て大規模な感染拡大となっていることを示している。このグラフが示されたのは昨年11月26日であるが、この後このオミクロン株が世界で大流行したことになる。
上表は2月21日現在の世界の感染状況を示している。この表の「流行株」欄を見ると、ベトナムを除く全ての国の流行株がオミクロン株になっていることが分かる。また、デンマーク、オーストリア、インドの3国がオミクロンの亜型 BA.2 となっている。また、「一週間の相対的増減」欄は、およそ6割の国で感染収束の途にあることを示し、また、今まで感染少だった東アジアの国々(韓国、インドネシア、ベトナム、マレーシア)で感染拡大が続いていることを示している。
上図はオミクロン株の各亜型がどう分岐したかを示している。今 日本では、昨年10月頃に BA.1 から分岐した BA.1.1が流行っている。一方で今怖れられているのが BA.2 であるが、系統樹を辿ると、昨年の2~3月頃に分岐したと推測される。分岐時期が早いことは、BA.1とBA.2が分岐後独自の変異を溜め込んでいて、お互い亜型と言えないくらいに違っていることを暗示している。
上図はBA.1とBA.2の変異箇所の違いを表している。実際、BA.1とBA.2は亜型と言えないくらいに異なっている。昨年は、アルファ株で第4波を経験し、その後デルタ株で第5波を経験した。オミクロン株のBA.1とBA.2の違いは、アルファ株とデルタ株の違いを超えている。これは、BA.1の波を経験した後、BA.2という別の波を経験する可能性が十分あることを意味する。
今日はオミクロン株を調査し、BA.2をオミクロン株の亜型と見なして注意を払わないのは危険だと思った。東京都の発表では、BA.2は既に市中感染しているようである。このBA.2がBA.1の収束の陰で感染拡大の途上にあるのかも知れない。BA.2は欧州でステルスオミクロンと呼ばれ、この「ステルス」という言葉だけが知られるようになっているが、今日説明したように「BA.2とはオミクロン株とは全く異なる別の株」として扱わなければならない。
今日は「オミクロン株の行く末」というタイトルで書き始めたが、オミクロン株BA.1とは全く異なるかも知れないBA.2の動向がまだ見えないため、行く末を予想することができなかった。しばらく、注意して監視しなければならない。