コロナ禍で相対的貧困率は上がるか?

 今日のテーマは「相対的貧困率」についてである。日本は他国に比べて平等な社会が形成されていると思っていたが、OECDの発表によると、日本は、相対的貧困率においてはワースト5に入っている。
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 ただ「相対的貧困率」の定義も知らずに、『相対的貧困率が高いということは貧富の差が大きいということか?』と推論するのも良くないと思ったので、今日はまず、その定義を調べてみた。
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 上図は厚生労働省が報告した資料からの抜粋で、各世帯を所得金額でランク分けし、各ランクに入る世帯数の分布を示したグラフである。ここで相対的貧困率の定義に必要となる項目として「中央値」という言葉がある。中央値とは、このグラフで言えば、所得金額が真ん中の世帯の所得金額を表し、仮に日本に4000万世帯があったとしたら、所得金額を低い方から並べて2000万番目に当たる世帯の所得金額を中央値と定義する。そしてその中央値の半分以下の所得しかない世帯が相対的貧困層となる。
 ただ、上述の定義はおおよその概念を把握するには良いが正確ではない。第一、同じ所得金額の世帯でも、世帯員が1人と4人では困窮度合いが全然異なる。ということで、上述の「世帯当たりの所得」を「個人当たりの可処分所得」に置き換えれば正しい「相対的貧困率」の定義となる。
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 上図は、私が厚生労働省のデータに基づき作成した「相対的貧困率」説明用の概念図である。今日は最後にこのグラフを見ながら、「コロナ禍で相対的貧困率がどう変化するか?」を考えてみる。私は2/9のブログで「コロナ禍で貧富の差は拡大」と書いている。ただ、今日、相対的貧困率の定義を理解して言えることは「コロナ禍で相対的貧困率は大きく変化しない」である。何故なら、コロナ禍で富裕層が所有する株や金融資産は上がっているが、それは、このグラフの右端の人達がもっと右へ行くだけ、中央値を決める「金額の低い方から数えて何番目」には全く影響しない。次に、コロナ禍で所得が減る人がどうなるかを考えれば、一番困っているのは、非正規雇用で働いていて、それが雇い止めとなり、いよいよ生活保護が必要となるような所謂「社会的弱者」であり、これらの人は元々左端にいて更に左へ行くことになるが、中央値は変化せず貧困線も動かないことになる。また、年金のみで細々と暮らしている人達は年金額が変わらないので変化なし。そしてこのコロナ禍でも、ほとんどの人達の所得が変わってない。以上を総合的に考えれば、「コロナ禍で相対的貧困率は変化しない」という結論になる。