タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

新資本主義

 昨日、岸田新内閣が発足した。打ち出された政策の一つに「新資本主義実現」がある。所得の再分配を進めて所得格差を縮小させ、分配と成長の好循環を産み出し、経済を安定的なものにしていく政策のようだ。今日は日本の経済について考えてみる。f:id:TatsuyaYokohori:20211005125630p:plain
 上図は各国のGDPの推移を示している。日本が90年代にバブルで名目GDPを膨らました後、ずっと低迷したままであることが分かる。一方で米国は確実に成長し、中国はそれ以上に急成長し、ドイツ、イギリス、フランスにおいても日本以上の成長率で日本に迫ってきたことが分かる。欧州3カ国は人口が日本の半分程度であるから、一人当たりのGDP(国民平均所得)を考えれば、日本はここ25年ほどの間で相対的にどんどん貧乏な国になってきたと言える。f:id:TatsuyaYokohori:20211005132606p:plain
 上図は各国のGDP成長率の推移を表している。日本は年率2%程度の成長率であり、他国と比べても圧倒的に低い成長率である。
 野党の皆さんは経済政策に精通している人が少ない。そして、見えている問題点として「アベノミクスで貧富の格差が拡大してしまった」とおっしゃる。この考え方の延長には「富裕層から税金を取り貧困層へ配分する」があって一般大衆には受けが良い政策となる。しかし、上図を見ても分かる通り、日本経済の一番の問題点は「経済が長らく成長していない」ことであり、この判断を誤ってしまうと「皆そろって貧乏になろう」政策になってしまう。
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 上表は主要各国のビックマック指数を示している。ビックマック指数とは、全世界に展開しているマクドナルドの主要商品である「ビックマック」がいくらで買えるかを比較し合うことで、その国の物価水準が低いか高いかを推し量ろうという指標である。因みに日本では、この表により、米国の36.3%引きの値段でビックマックが買えることになる。
 この表を見て分かることは、日本の物価が非常に低水準であることである。一人当たりのGDPが日本の3/4程度しかない韓国の方がビックマックの値段が高いのである。日本の物価が安いことは、10年ほど前から既に、インバウンドの拡大という形で日本経済に貢献してきた。海外から日本に来ると、誰もが日本の物価の安さに驚き、この価格でこのサービスが提供されるなら何回も来たい と思うわけである。
 これだけ物価が安いと、為替レートが円高に振れそうなものだが、日本の金利が安いためか、1ドル100円を切るような円高にはなかなか進まない。為替レートは一時期(2011年)70円代まで円高に振れたが、それでも潰れなかった日本の輸出企業は、今の為替レートでは当然利益率を上げているはずである。ただ日本の輸出企業は、利益を拡大させてはいるが、それが内部留保の拡大に留まり、成長の糧になってない。従って、ここから税金を取るのは理に適っている。
 もう一つ、投資に対する利益が課税の狙い目となる。今 日本の富裕層は、安全で物価が安い天国のような国に住んでいる。持っている資金は日本より海外へ投資した方がリターンが多い。株価はコロナ禍で一旦下がったが、その後持ち直し過去最高値を更新した。このようにして、海外で儲けた不労所得を物価の安い日本で使えるのだから、今20%の税率を少々上げても、経済にブレーキを掛けるほどにはならないと考える。