タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

雨雲レーダー圏外地域

 ここ数日、曇り時々雨のぐずついた天気が続いている。こんな時はスマホの雨雲レーダーを見ることにしているが、今確かに雨が降っているにも関わらず雨雲レーダーに映らないことがよくある。今日はその辺りを調べてみた。
 雨雲レーダーに雨雲が映らない理由は大きく分けて2つある。
1.雨粒が小さい場合映らないことがある
 気象レーダーとは、アンテナから電波を発射することで降水粒子を捕捉し、降水強度と雨雲までの距離を観測する装置である。霧雨は直径が0.5mm未満という、とても小さな雨粒である。このような小さな雨粒は、気象レーダーからの電波を強く反射することができないため、気象レーダーで反射波を捕捉できず、気象レーダー画像に表示されないことがある。
2.遠方で低空の雨雲の場合映らないことがある
 レーダーの電波は直進するので、雨雲とレーダーの間に障害物(高い山など)がある場合はレーダーに映らない。また、遠方の低層の雨雲は地平線の陰(下)に隠れてしまうので映らない。

 上図は、「高いところへ登るとどこまで遠く見えるか?」を説明するための図である。hを大きくすれば ℓ が大きくなることが分かる。気象レーダーは全国で20ヵ所に設置されており、富山県の雨雲は、福井県坂井市東尋坊)にある気象レーダーにより観測されている。ここのアンテナの海抜高度は107mであり、h=107mとして上図の式に代入し ℓ を求めると、視界距離 ℓ=37 kmとなる。これでは石川県の加賀地方ぐらいしか視界に入らない。今度は逆に、東尋坊から富山市までの距離111kmを ℓ に代入してhを求めると、富山市まで視界に入る気象レーダーは、967mの高さ(標高)のものが必要になると分かる。それでは次に、東尋坊雨雲レーダーから富山市の上空何mぐらいが見えるかを求めてみる。ここで制約条件になるのが、石川県と富山県の県境にある山々で、倶利伽羅峠の標高が277mであることから、県境にざっくりと平均300mの壁があるとみなす。そうするとこの問題は以下のように言い換えることができる。
 <問題>
 東尋坊の標高107mのレーダから出る電波が、66km先の石川富山県境の標高300mの壁の上端をギリギリ超え、その先45kmにある富山市まで直進した時、その電波は富山市の上空何mのところに達するか?
 この問題の答えは、ピタゴラスの定理を拡張した余弦定理を用いることで、上空824m と解答することができる。すなわち、富山県では、低層(上空およそ800m以下)の雨雲はレーダーに映らないのである。何か圏外に住んでいるようなみじめな気持ちになった。