タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

経済学を勉強して経済運営を

 昨日、参院議員運営委員会で日銀総裁候補である植田氏に対し、所信徴取が行われた。質問者がアベノミクスの一端を担ってきた世耕氏であったので、実に興味深い内容であった。以下、簡単にまとめた。
Q1 アベノミクスをどう評価するか?
A1  評価する
  ・デフレでない状態を作り出した
  ・企業収益が拡大した
  ・雇用が拡大した
Q2 アベノミクスを継承するか?
A2 2%の物価安定目標を続ける意味で継承する
Q3 2%目標を恒久目標にすべきだ
A3 何が起こるか分からないのでコミットするのは控える

 政府・日銀の共同声明の中にある2%物価安定目標がどのように決められた数値なのか分からなかったので調べてみた。

 経済学において、物価と失業率の関係を示すフィリップス曲線というものがある。デフレの時に金融緩和をすると、雇用が拡大し失業率は下がるがインフレ率はそれほど上がらない。一方でインフレ率が2%を超えて景気が過熱してくると、失業率が大して下がらない割にインフレ率が大きく上がる傾向になる。すなわち、2%物価安定目標は、雇用と物価の双方ともがちょうど良い絶妙な状態であることを狙って定められた値である。これが分かれば、世耕氏の「2%目標を恒久目標にすべきだ」と質した意味も良く分かる。
 さて、経済運営は経済学が良く分かった人がやるべきと考える。亡くなった安倍元首相がフィリップス曲線を理解されていたとのことで、その下でアベノミクスを進めた世耕氏に、この辺りの知識があるのは当然のことだろう。一方で、アベノミクスは失敗で軌道修正すべきと主張する人達は、経済学を理解しているのだろうか? 修正すべき点はどこなのか? 2%物価という時の物価は消費者物価ではなくGDPデフレータの方であるが、そんなことも知らずに騒いでいるだけではなかろうか? 与党も野党も経済学をちゃんと勉強しないと、省益を優先する役人が作った施策案の間違いに気付かず、間違った政策を進めることになるのではなかろうか?