タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

釈然としないこと 続き

 昨日は、首相秘書官の性的マイノリティ蔑視発言を話題にした。今日はその延長線上で考えたことを述べてみたい。最初に断っておくが、私は首相秘書官の発言を擁護する意図はさらさらない。
 今回私が考えたところは、日本人の「思う」という動詞の使い方の幅が非常に広いという点である。日本人は感じる(feel)ことも考える(think)ことも「思う」と表現することが多い。feelやthinkはかりでなく、wantも hopeも considerも expectも全部まとめて「思う」で済ましているようなところがある。私が昨日一番言いたかったことは、好き嫌いという感情は理性ではどうすることもできないので、そこを咎めるべきではないという点であるが、日本人が「思う」を多用する国民であり、think と feel を区別せずに生活している以上、こんな問題はこれからも後を絶たないと予想される。
 因みに、「あなたはどう思いますか?」の英訳は How do you think? ではなく What do you think? である。これは、英語が日本語より具体的に物事を思考することを要求する言語であることを示している。 なぜなら、thinkする対象(目的語)が、たとえぼんやりしていようが、意識する何か(Something、物や事)がないと文章として完結しないのだから。
 さて、首相秘書官があのような発言をした背景には、岸田首相が国会予算委員会で、同性婚の法制化について、「社会が変わってしまう」と否定的な答弁をしたことがある。こちらの方は首相の考えを述べたものであり、同性婚を認める風潮に変わりつつある現状を否定しているので、マスメディアとしては、こちらの方にこそ焦点を当て議論を深めるべきだと考える。そして、自民党同性婚や選択的夫婦別姓に反対する背景に、元統一教会の圧力がどれほどあるかを明らかにしてもらいたいものだ。

P.S.
 同性婚を認める場合、憲法第24条をどう処するかが問題となる。同条では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と謳われているからだ。ただ、憲法改正という真っ向勝負で行かず、法解釈で柔軟に切り抜ける手はある。憲法の条文は同姓婚の禁止を謳ってはいないからだ。実際民法には、婚姻が異性間にのみ成立すると規定する条文はない。つまり、やり方は工夫次第であるから、あとは「やる気」の問題となる。