タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

釈然としないこと

 首相秘書官がLGBT等の性的少数者に対する差別発言で更迭された。この発言自身は、首相秘書官がしたものとしては許されるものではないが、「オフレコ前提での発言」となれば、少々見方が変わって来る。一つ、たとえ話をする。
 昔、へびを神として崇める村があったとする。村の掟としてはへびは神であり拝む対象であるのだが、この村の長(おさ)の息子が祭りの宴席で「俺はへびが神だという村の掟は分かっているが、実を言うと、あんなもの見るのもいや、そばによってくるとぞっとする」と言ったとする。あなたがもしこの村の住人だったら、あなたはこの息子の発言を咎めるだろうか?
 ここで重要なポイントは、首相秘書官も長の息子も事の良し悪しや是非を言っているわけではなく、単に自分の個人的な好き嫌いを言っているだけ という点である。憲法で思想の自由も表現の自由も保障されているのに、好き嫌いを言ってはいけない場合があるということになる。好き嫌いは感情であって理性でコントロールできないから、残る理性でコントロールできるところは、自分の感じたところを口にするかしないかだけになる。そして今回の問題点は、「自分が感じている感情をオフレコと断ったとしても、話す中身を深く考えず、正直に話してしまったこと」と言い換えることができる。何だか釈然としない。