タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

憲法と新型コロナ対策

 昨日、内親王眞子さまが年内にも結婚される方向で調整が進められているとのニュースが全国を駆け巡った。国民の理解が得られない中での結婚については、秋篠宮殿下の憲法堅持のお考え(憲法第24条:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立)にて説明されていた。皇室として賛成できる結婚ではないが、憲法が保障する個人の権利は認めざるを得ないということだろう。
 一方で先日、愛知県常滑市で開かれた野外音楽イベントで酒類が提供され、観衆が密集してしまったことが問題になった。日本人のほとんどは「このコロナ禍の中、何ということをしたんだ!」と怒っている。そして怒りの矛先は主催者に向けられている。しかしながら、この主催者は別に法律に反したことをしたわけではないし、もちろん参加者もそうである。
 国民の自由及び権利については、憲法に以下のように書いてある。
 第十二条
  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
 第十三条
  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
 つまり、公共の福祉に反しない限り個人の自由と権利は認められる。眞子さま憲法を盾に結婚する権利を主張できるし、イベント主催者には憲法により野外フェスを実施する権利が保障されている。イベント開催がどう穿った解釈をしようが公共の福祉に反するはずがないのである。
 新型コロナ感染対策でロックダウンのような私権制限の法律制定を提言する人もいる。私権制限の法律を憲法改正無しでできるものだろうか? 憲法上、私権を制限する方向で縛るものは公共の福祉しかない。公共の福祉という言葉は「個人の幸せの和集合」のような感じがして、ロックダウンなどとはイメージが合わない。「公共の福祉」とは別に「国民の安全」という観点で法整備が必要ではないだろうか。日本で私権制限の法律ができそうもないのは、日本国憲法に有事を想定した緊急事態条項が無いからだと私は考えている。