タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日本人の3/4が陰のワクチンを接種済み

 昨日、言論プラットフォーム アゴラ(AGORA)のサイトに『日本人は「T細胞記憶による交差免疫」で新型コロナを撃退している可能性について』という非常に興味深い記事が載った。私はかねてより、『FactorーXの正体は交差免疫である(12/20ブログ)』と主張しており、最近は、4/1のブログで、このFactor-Xを「陰のワクチン」とも称している。この記事の内容は私の主張とほぼ合致するので、今日はこの記事に沿って私見を織り交ぜながら、新型コロナウイルスに対して日本が今後どうすべきかを考えてみたい。
1.日本人が交差免疫を持っている根拠
 アゴラ記事では、日本人感染者52症例を調査した結果を「抗体の出現パターン」で層別し、75%が交差免疫有りのパターンであったと結論付けている。
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2.IgM抗体とIgG抗体、交差免疫の主役となるのはどちらか?
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 上図はIgM抗体とIgG抗体の違いを示している。一般に人は、全く未知の抗原(ウイルス等)に出くわした場合は最初にIgM抗体を産生する。一方で過去に経験した抗原の場合は、その記憶に応じたIgG抗体を産生する。抗原をがんじがらめにできる抗体を「中和抗体」と呼び、この中和はIgG抗体の為せる技となる。
 一般に一つの抗原に対し複数の抗体が作られる。IgG抗体の中には中和抗体ほど完全ではないが、抗原の動きをある程度抑制できる抗体もある。ウイルスは変異するので、以前は「一番効果が高い中和抗体」であったものが、変異ウイルスに対しては「ある程度効果の中和抗体」に格下げになることがある。逆に「ある程度効果の中和抗体」であったものが、ウイルス変異を受け、「一番効果が高い中和抗体」に格上げになることもある。そして、この「ある程度効果の中和抗体」も含めての複数のIgG抗体全体(IgG抗体群)が、交差免疫として働いている可能性が十分あると私は考えている。
3.交差免疫とは
 新型コロナウイルスを例に交差免疫とは何かを説明する。2003年中国南部広東省を起点にして流行ったSARSSARS: severe acute respiratory syndrome)は、コロナウイルスを病原とする重症急性呼吸器症候群感染症であった。また、日本人の罹る風邪の2割から3割はコロナウイルスによるものである。交差免疫とは、ウイルスに感染した時できた抗体(2.で言うIgG抗体群)が、そのウイルスの亜型ウイルスに対してもある程度の効果を発揮できるという考えであり、すなわち旧型コロナウイルスでできた抗体が新型コロナウイルスに対してもある程度の効果を発揮できるとする説である。
4.アゴラ記事の言いたいこと
 日本を含む東アジア地域の国々で、新型コロナウイルスの感染者数や死者数が極端に少ないのは、「交差免疫」によるものと思われ、この交差免疫がFactor-Xの正体である。
5.アゴラ説の信憑性
  従来、新しいコロナウイルスの発生地は中国南部とされ、ここの住民の生活様式が、コロナウイルスの自然宿主であるコウモリから、直接/間接的に新種のコロナウイルスを人間界に取り込んでいると言われている。「Factor-X = 交差免疫」説は、このコロナウイルスによる風邪が風土病のように流行っている東アジア地域で、新型コロナウイルスの感染者数が低く抑えられていることとぴったり符号する。私としては、Factor-Xの主因として一番可能性の高い説に思える。
6.日本の取るべき施策
 今基本的な作戦は、「ワクチン接種により集団免疫を構築し、これでもって感染を沈静化させる」とされている。ここにおいて、集団免疫の基本となるのは、ワクチン接種にて獲得される中和抗体であった。ところが、4/1のブログ「陰のワクチン」でも書いたが、ワクチン接種が進み感染者が大きく減ったイスラエルの感染レベルが、感染者が増えて「まん延防止措置」の適用を開始した日本の感染レベルより高いのである。私は、この理由は、日本人の多くが 陰のワクチン を接種済みであるからだと思っており、この 陰のワクチン による集団免疫は、日本人が過去に罹った旧型コロナウイルスによる風邪により獲得できたものと考えている。
 この考えで、今日本がどういう状態かを改めて認識し直せば、まず、日本人の3/4は既に交差免疫を持っている。これは、ちょっと質が劣る抗体を持っていると思えば良い。ファイザ製ワクチンの有効性が95%としたら、交差免疫(ある程度効果の中和抗体)は50%程度の有効性と思えば良いだろう。多分毎年打つインフルエンザ予防注射の有効性ぐらいはあると思われる。こういう認識に立って今やるべきことは、やはり「高齢者への早急なるワクチン接種」となる。認識を新たにしても作戦は変わらない。何故ならば、交差免疫を持たない人が1/4いるし、たとえ持っていたとしても高齢者の場合、そのような質が劣った抗体では、ウイルスに負けてしまう可能性があるからだ。
 ただ、この「日本人の3/4が交差免疫を持っている」という認識に立てば、高齢者にワクチンを打ち終わる6月末頃には、前に広がる景色が全然変わってくると思われる。ワクチン接種が進んでいる英国、米国、イスラエルでは、もう既に人々の気持ちが変わり始めた。日本においても6月末になれば、感染再拡大を心配する今のこの重苦しい空気も一掃されるであろう。