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田舎の年金暮らしのたわごと

富山で新型コロナ感染者29人変異株5人

 昨日の富山県内の新型コロナ新規感染者が29人となり、また、今月の感染者の内5人が変異株と発表された。富山県でも第4波への入り口まで来ているように思えるが、県独自のアラートを出すことは見送られた。29人中25人が、既に感染が判明している人との濃厚接触者や関係者であり、不特定多数による市中感染の状況ではないと判断されたからである。
 昨年のこの時期、富山県においては、市民病院および高齢者介護施設で起きたクラスターにより、医療崩壊にも繋がりかねない逼迫した状況であった。その時の新規感染者数が1日14,5人程度であったが、病院スタッフの多くが自宅待機状態に陥ってしまい、大変な状況になっていた。一方で今年は、感染者の数では昨年より多いが、今日時点で医療体制への負荷も限定的であり、まだ落ち着いた状況である。1年前とは大違いである。皆この1年で学習し対応能力を付けたのである。
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 上図は昨年4月の全国での新型コロナ感染者の推移を表している。今年は人数においては、昨年の数倍のレベルになっているが、状況的には1年前と実に良く似てきた。似ている要因の一つは変異株の影響である。昨年は3月初旬まで武漢株が主流で、これは感染力が弱かったため何とか持ちこたえられていたが、欧州で変異した感染力が高い欧州株が入って来てから感染拡大のスピードが一気に上がってしまった。今年はその欧州株が更に変異して英国株や南ア株が出現しており、更なる拡大が懸念されている。もう一つ似ている要因は季節性のイベントであり、「季節要因」と言って良い。3月下旬から4月上旬は、卒業式や送別会、引っ越しから歓迎会に至るまで、とにかく感染機会が盛沢山にあるわけで、これが感染拡大の一大要因となる。つまり、いつも同じ時期に感染拡大のピークとなるわけである。
 上記感染拡大要因に対し、感染抑止施策を効果的に行えば、この第4波も昨年のように4月中旬でピークアウトする形で乗り切れることが期待できる。ただ問題は「効果的な感染抑止策」とは何かである。もう1年前の個人の自由に制限を課すような強力な行動制限ができない中で、「夜8時までの時短営業」ぐらいしか対策手立てを持たない行政側に期待するのは望み薄のようにも思える。
 世の中には「感染抑止第一主義」の人がいて、一方で「防疫経済バランス主義」の人がいる。そしてこの2派が二手に分かれてせめぎあい、世論を形成する。行政側の感染抑止策は世論の動向を見ながら実施される。やり方は双方に配慮するから、どうしても中途半端になる。そして双方どちらともに不満が残る。
 みんな一番不満に思うのは、感染が再拡大して「またか!」と思う時である。「感染抑止第一主義」派は、『ブレーキを踏むのが遅過ぎた』とか『ブレーキからアクセルに切り換えるのが早過ぎた』と不満に思う。一方で、「防疫経済バランス主義」派には、経済的に実際困っている人達が沢山いるから、『何で自分たちばかりにしわ寄せが来るのだ』と不満に思うことになる。最初から「感染が再拡大した時は再度ブレーキを踏みますよ」と言ってあるのに、ほとんどの人が『これが最後の波』だと思っている、あるいは願っている。最後の波になるのは、みなワクチンを打って集団免疫ができた時である。それまでは、アクセルとブレーキを交互に繰り返すのである。そしてみんなが不満に思っている日本の感染対策は、欧米に比べてはるかに感染が抑えられている対策になっており、また中国や韓国に比べて個人の自由やプライバシーが尊重される形になっていると、私は個人的に思う次第である。