タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

万能ワクチン

 新型コロナの感染者数が9万人を超え、第7波の猛威が懸念される状況になってきた。政府は、4回目接種の対象拡大を打ち出しているが、オミクロン株の派生型であるBA.5は免疫逃避能力が増しており、ワクチンがどの程度効くかも心配である。今日は、変異ウイルスに対しても一貫して有効性が維持できる万能ワクチンについて調べた。

 上図は2/11のブログで使った説明図であり、免疫の活性化とウイルスへの働きを表している。現在主流のmRNAワクチンは、筋肉注射により産生されたスパイク蛋白質が、樹状細胞、ヘルパーT細胞を経てB細胞を活性化させ、このB細胞が作り出す抗体がウイルスを中和することで感染を防止している。
 ウイルスが変異するとスパイク蛋白質が変化するため、抗体とウイルスの結合力が下がり、ウイルスが抗体をすり抜けるようになる。そしてその結果ワクチンが効かなくなってくる。
 ウイルスが変異しても有効性が変わらないワクチンは作れるのであろうか?
候補1 キラーT細胞強化ワクチン
 獲得免疫には、上述した抗体免疫の他に「細胞免疫」があり、上図のキラーT細胞が活性化していて、そこにウイルス感染があれば、キラーT細胞は、感染細胞丸ごと攻撃しウイルスを死滅させる。ウイルスの特定は、樹状細胞で、HLA ClassⅠとClassⅡの2種類により行われるが、キラーT細胞に提示されるClassⅠの方は、ウイルスのスパイク部分だけでなく、変異しても変わり難いスパイク以外の部分も標的(抗原認識)として提示される。従って、変異しても変わらない基本構造部分の蛋白質をワクチン剤とすれば、万能ワクチンになる。
 ただこのワクチンは感染防止用ワクチンとはならない。キラーT細胞がウイルス感染細胞の存在を前提としているからだ。しかしながら、キラーT細胞強化は間違いなく重症化防止になるし、今問題となっている後遺症の解決策にも成り得る。
候補2 スパイクで変化が少ない部分を標的にするワクチン
 インフルエンザワクチンを例に説明する。

 上図はインフルエンザウイルスのHAスパイク(細胞内侵入時にこの突起を使う)とワクチンの標的部位を示す。従来ワクチンは、Head部分を標的(抗原認識)としていたが、この部分は変異による変化が大きく、結果ワクチンが効かなくなる。一方でStem部を標的にすれば、この部分は変異による変化がほとんどないため、変異に影響を受け難いワクチンとなる。ただ、残念ながら、新型コロナでこの手の文献は見つからなかった。