タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

豪雪発生メカニズムの解析

 昨日のブログで豪雪となる条件を「非常に強い寒気が日本海中央まで南下し長く居座る場合」と説明した。そしてこの条件が予測できるなら豪雪予報が出せるだろうと書いた。しかしながら、雪がどの辺りに降るかを予測できないと予報が出せない。そこで今日は、豪雪となる場合、雪がどのようなメカニズムでどの辺りに多く降ることになるかを考えてみた。
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 上は降り始めから24時間で50cmの積雪となった1月8日6時の天気図と衛星画像である。天気図を見ると日本海に気圧の谷が出現しているのが分かる。また衛星画像を見ると、日本海全面に筋状の雪雲が発生している中で、北朝鮮北部沿岸辺りに雪雲発生の空白域があり、その下流域で積乱雲が発生しているのが分かる。そして気流の流れは、吹き出し時は北西の風だが、気圧の谷辺りで西北西の風に方向を変えながら日本列島にぶつかっている。
 積乱雲の発生地域と気圧の谷となる低圧部分はほぼ一致しており、これは、低圧部となっているところで上昇気流が発生し積乱雲が発達しているとも言えるし、大気の状態が不安定なところのあちこちに上昇気流が発生し、それが季節風に乗って連なったことで気圧の谷ができているとも言える。いずれにしても、この不安定な大気を生じさせる原因は、日本列島付近まで南下した「上空の強い寒気」と日本列島に沿って北上する「対馬暖流」、この2つの温度差となることから、気圧の谷も積乱雲の雪雲も日本海南部の日本列島に近いところで発生することになる。
 また、北朝鮮沿岸の雪雲発生空白域は、この吹き出し口元に2000m級の山岳地帯があり、この山々が壁となって季節風が通り抜けるのを妨げているから生じたと想像できる。この空白域は大勢には大きく影響しないが、ここの下流で生じる乱気流が積乱雲発生のきっかけとなることがあり、そのまた下流の日本列島での降雪量に濃淡を付けているように思える。
 このように考えると、豪雪タイプ冬型での降雪地域は、北陸3県を中心に北は新潟から南は山陰地方にほぼ限定されると思われる。実際どの辺りの積雪量が多くなるかは、その都度、衛星画像から判断するしかないだろう。今年の豪雪では、7日、8日と富山を中心に大量の雪が降ったが、9日には降雪中心が福井県に移り、同県内の北陸高速道で最大1500台の車が立ち往生した。
 次に、強い寒気が日本列島まで南下するのはどんな場合かを考えてみる。答えはずばり「偏西風の蛇行」となる。
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 日本列島の上空には偏西風と呼ばれる強い西風が吹いているが、これが上図のように大きく蛇行した場合、シベリア付近の強い寒気が偏西風に乗ってどんどん日本列島上空に流れ込む。先の豪雪は、この偏西風の蛇行の規模が大きく、数日間強い寒気が流れ込み居座ったため生じたものと思われる。