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田舎の年金暮らしのたわごと

モノクローナル抗体

 今日のテーマはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体については、米国トランプ大統領新型コロナウイルスに感染した際、「モノクローナル抗体カクテルと呼ばれる臨床試験段階の未承認薬を投与され回復に至った」ということで話題になった。ただ話題になったものの、それがどういうものかについては良く分からない。今日は、モノクローナル抗体がどういうものかについて調べてみた。
 まず、抗体とは「身体に侵入する微生物やウイルスに対し免疫系が身体を守るために産生する毒性中和物質」と定義し、その産生方法により分類してみた。
 ① 微生物やウイルスの侵入により自身の免疫細胞により産み出された抗体
 ② ワクチン接種により自身の免疫細胞により産み出された抗体
 ③ 他者の免疫細胞により産み出された抗体
トランプ大統領に投与された抗体は③であり、新型コロナウイルスに感染し回復した他者の身体で作られた抗体が投与されたことになる。
  このような説明で「抗体」については、一般人にもおおよその概念は理解されているものとして、分からないのが「モノクローナル」の方である。このモノクローナルを理解する時は抗体がどのように作られるかを理解しておく必要がある。
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 上図は身体の中で抗体がどのように作られるかを示した図である。この図を見ると、抗体を産み出すのはクローン細胞であると分かる。ここまで理解できると、モノクローナル抗体とは、「単一リンパ球クローン細胞から産み出された抗体」だと分かる。
 疑問が残るのは、後は「モノ(単一)」の意味合いである。ここで、「北里柴三郎破傷風の治療法として確立した血清療法はポリクローナル抗体だった」という点が理解できていれば、疑問解消も容易になる。上図にも説明されているが、人体が抗原と出会った時、複数種の抗体を産生する。つまり、ポリクローナル抗体を作り出す。ただその複数の中には、強力に効く「中和抗体」もあれば、それほど効かない抗体もある。そして、強力に効く単一のクローン細胞から産生された抗体が「モノクローナル抗体」となる。