タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

設計不具合と製造不具合

 小林製薬の紅麴健康食品問題で、「機能性表示食品」の問題が指摘されている。比較対象となるのが「トクホ:特定保健食品」である。特定保健食品の方は、実際の製品を使った臨床試験が必要なため、申請して許可を得るまで数年かかると言われいる。一方で機能性表示食品の方は、臨床試験の必要がなく、「安全性」や「機能性」の根拠に関する情報などを国に届け出るだけで良いので、手続きは数ヶ月で済むと言われている。それでは、今回もし、小林製薬の紅麴健康食品でトクホの認定に必要な臨床試験をやっていたら死亡事故は防げていたであろうか? 答えは「NO」である。何故なら、紅麹自身に問題が無いので、紅麹の有効性や安全性を確認する臨床試験をいくらやっても今回の問題が浮かび上がらないからである。
 私は昔機械メーカに勤めていて、自社製品の不具合を何度か経験した。製品の不具合は、設計不具合と製造不具合に分類できる。薬に例えるなら、設計不具合とは、薬の成分やその比率、服用指針に問題があって起きる不具合であり、これは臨床試験で問題が無いよう潰し込むことができる。しかしながら今回の問題は、製造工程での異物混入であり、明らかに製造不具合である。製造不具合は臨床試験では潰し込みができないのである。
 死者が出ている話だから何等かの対策が必要となるが、「機能性表示食品の制度設計が悪い」と評論家気取りの抽象論を唱えても事は解決しない。製造、輸送、保管工程を含めて、製品(食品)の安全性を担保できるよう、制度の見直しが必要となるだろう。食品群を分類して、物によっては「製造工程認証」が必要になるかもしれない。また、不具合が生じた時の報告義務に関しても、きちんと規定することになるであろう。

春の心を穏やかにするには

 今日午前中はいつものパークゴルフ神通川上流の河川敷にあるパークゴルフ場では、土手の桜が五分咲きぐらいに開いていた。

 上は近所のいたち川の桜であり、こちらも五分咲きぐらいで、数日後には満開になるであろう。ふと、高校の古文で習った歌「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平朝臣)」を思い出した。この歌の解説としては、
「世の中に桜がまったくない」というありえない状況を想定し、桜がなかったら「咲いたかな」「もう散るのかな」と思い煩うこともなく穏やかにすごせただろうにと思う。でも実際には桜はあり、何とも悩ましい思いをかき立てている。その複雑な心情を通して桜の魅力、春の悩ましさを描いている。といったところだろう。
 何だか、平安貴族の、労働もせず優雅に歌を詠む姿が頭に浮かんでしまい好きになれない。今の私なら「世の中に花粉症がなかりせば春の心はのどけからまし」と詠むだろう。




政治不信を引き起こした張本人

 今年は自民裏金問題で政界が揺れている。昨日は離党勧告を受けた塩谷氏が勧告に異議を唱えて再審査請求の検討を表明した。この塩谷議員は、次期総裁候補にも成り得る安倍派5人衆と比べると、正直言って格が違う小物議員である。実際塩谷氏は前回2021年衆院選静岡8区立憲民主党源馬謙太郎氏(51)に大差で敗れ、比例復活で何とか議席を守った。この人が安倍派座長になったことで、ここまで政治不信を増幅させてしまった。
 国会の政倫審では、5人衆が、「キックバックを協議する会合では結論が出なかった」と言っているのに対し、塩谷氏は「なんとなくそういう(キックバックを続ける)雰囲気になった」と答弁した。この点をメディアは「意見の食い違い」と報道したが、ちっとも食い違ってない。真相は、結論は出なかったのであり、塩谷氏がこの問題を有耶無耶にして放置したのであろう。
 ここで、世間で言っているキックバックが何故止められなかったか考えてみる。安倍元首相は派閥パーティーを翌月に控えた2022年4月、還流の取りやめを提案したという。メディアは、キックバック=裏金として、まるで悪いことのように報道するが、キックバック政治資金収支報告書に記載すれば立派な「表金」であり、これ(収支報告書への記載)さえやっておけば、違法行為は無かったと言える。私は、安倍さんがキックバックをやめよと言ったのではなく、「キックバックも含めてちゃんと収支報告書に記載しないといけない」と指示したのだと思っている。そしてこの指示を伝聞情報として聞いた塩谷座長が、「キックバックが必要だと言う人もいる」という的外れなことを言いながら、安倍さんの指示は実行できないと考えこんでしまったのであろう。「キックバックしても良い、ちゃんと収支報告書に記載すれば良い」、こんなシンプルな指示を、派内を取りまとめて実行できなかったのだから、安倍派の座長として責任を取って政治家を辞めるのが当然である。
 この問題をここまでの大きな騒動にした一番の責任は岸田首相にある。今回の問題は、第一義的には「政治資金規正法違反」の問題であり、この問題が発覚した時点で岸田首相は「法律違反を犯した者は党として厳しく処分する」と言うだけで良かった。それなのに、岸田首相はこの問題を安倍派潰しに使えると思ってしまった。そして突然、岸田派を解散させてしまった。まるで派閥が悪いかの印象を国民に与えたのである。岸田さんもメディアも国民も問題が何かを分かっていない。問題は大きく二つに分類できる。
 1.政治資金規正法違反の問題
  → 党として違反者の処分を決める
 2.法律自身が不備である問題
  → 法律の改正点を詰める
 このように整理し対処すべきだったのに、岸田首相はこの問題を、国民の政治不信を増幅する方向へ持って行ってしまった。野党も野党である。問題解決に貢献しないことばかり言い張り、自民党のイメージダウンこそが我が道と策略を巡らした。東京地検特捜部が地方からの応援も含めて大々的にやった捜査で、大した成果(大物政治家の逮捕)も出なかったのだから、議員であるあなた方素人の集まりが、新しい証拠も無く証言のみで国会追及したって、真相が暴かれるはずがないのである。岸田首相は、こんな野党評論家軍団に恰好の突っ込みどころを与えてしまった。1月2月3月と不毛な党利党略の政争が続いた。岸田さん、あなたも責任を取る必要がある。

エンドウ植え付け

 今年は桜の開花も遅れたが、農作業の開始も遅れている。今日は、苗床でつるが伸び始めたエンドウの植え付けをした。

 自家菜園の一角にネットを張り、エンドウを6苗植え付けたら、花粉症の鼻水が止まらなくなった。スギ花粉はもうそろそろ終わりの時期みたいだが、今度はヒノキ花粉がやってくる。



 

川勝知事騒動

 一昨日の静岡県川勝県知事の不適切発言から端を発した騒動が、昨日の釈明会見の失敗から返って火に油を注ぐ結果となり、収拾が付かなくなった末の突然の辞意表明となって、それが尾を引いて今日の辞意説明会見となった。
 発端は、県庁新人職員への訓示の中での、職業差別かとも受け取られる以下の発言であった。
「県庁というのは別の言葉で言うとシンクタンク 政策研究機関です。毎日毎日野菜を売ったり あるいは牛の世話をしたり、あるいは物を作ったりとかと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。ですからそれを磨く必要がありますね。」
比較対象として、わざわざ農業生産者等を取り上げる必要もないところを、この人の「一方を落としてもう一方を持ち上げる」といういつもの話法で、県民から不要な反感を買ってしまった。
 次の日の釈明会見では、更にその反感を増幅するに至った。最初の一声が「何か問題発言があったかのごとき状態になっており本当に驚いている」である。自分の発言の問題箇所が分からないかのような言い方に、怒りを通り越して唖然とする。「職業差別ではない」と自分の発言に問題はないとの姿勢で、謝罪もなければ発言の撤回もしなかった。この騒動に対しては、「一部が切り取られたような」とメディアの報道の仕方に問題があると言い張った。こんな記者対知事のやり取りが12、3分続いて、最後に記者からの「勘違いを産まないような対策については?」との質問に対し、しばらく沈黙したあと、「どうしたら良いかと考えておりまして、まあ準備もありますので、6月の議会をもって、職を辞そうと思う」と突然の辞意を表明した。
 この川勝知事は、元菅首相に対し「田舎から出てきて、単位が欲しいだけで学問してないから教養の無さが露見したこの田舎もんめ!」と馬鹿にした人である。どうも、自分が早稲田大学の教授であったことを鼻にかけ、学歴が低い人や頭脳労働をしていない人を上から目線で見下す傾向がある。そして、不適切な発言をしてしまった時は謝れば良いのに、謝罪も撤回もなかなかしようとしない。
 その川勝知事が、今日の会見の冒頭で謝罪した。『昨日これをやっておけば良かったのに』と思った。ただ、その後が酷かった。リニア新幹線建設を止めたことが、まるで自分の業績のように言い始めたところで、私も頭にきてTVのスィッチを切った。
 さて、川勝知事は後継として、立民の渡辺周元防衛副大臣に打診しているとのこと。悪夢の再現である。静岡県民は、まさか「悪夢の民主党政権」を忘れてはいないでしょうね。鳩山政権で日米の信頼関係をズタズタに引き裂き、菅政権では中国漁船衝突問題で中国に屈服し、東日本大震災では福島原発事故の混乱に輪をかけ、復興増税を創設し、財務省に丸め込まれた野田政権では「社会保障と税の一体改革(消費増税)」と引き換えに衆議院を解散してしまった。このため続く安倍政権には、消費増税という足かせが付いてしまった。最近の調査で、次の衆院選で「政権交代のぞむ」と答えた人が42%に上り、「自公政権の継続」を上回る結果になったそうである。あー、悪夢がよみがえる。

プベルル酸という聞きなれない物質が腎臓を傷める

小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、原因物質として「プベルル酸」という聞きなれない物質が候補に挙がっている。プベルル酸は青カビの一種の代謝産物から見つかった天然化合物。プベルル酸の毒性は、皮下投与によるマウス実験では、5mg/kg × 2回(1日1回を2日間)の投与で5匹中4匹が3日目まで死亡するというから、強力な毒性を持つようである。

 上図はプベルル酸とベンゼン環物質の比較である。ベンゼン環は6角の炭素環を基本構造とした、聞き慣れてありふれた物質が多いが、プベルル酸はなんと7角の炭素環になっている。こんな構造物質があるのを初めて知った。
 お昼のTV情報番組で、プベルル酸が腎臓にどのようにして害を与えるか説明していたので、以下におさらいの意味で説明図を作った。

 ヒトの腎臓は、毎日150リットルの原尿を作り、その内の99%を再吸収して、残りの1%を尿として排泄している。これはつまり、尿として排泄される過程において、排泄物質は100倍に濃縮されていることを意味する。毒性があるプベルル酸を長期間摂取すれば、たとえその量が少量でも、腎臓の尿細管で100倍に濃縮されることにより、この組織を痛めてしまう。プベルル酸が腎臓に障害を与える理由は、腎臓が持つこの「100倍濃縮機能」にあるみたいだ。





ステルス増税

 先月の国会答弁で岸田首相は、「少子化対策の財源確保のため、医療保険料に上乗せして徴収する支援金の負担額を、1人あたり平均で月500円弱と見込む」と言ったのだが、ここへ来て前言を修正した。

 先月の答弁では、負担額が小さく見えるよう「国民一人当たり」というまやかしの言葉を使ったが、実際保険料を負担する「被保険者一人当たり」で計算すると、一人当たり月々700円から950円の負担増になる。岸田首相は「決して噓はついていない」と言い張るだろうが、私には、国民から言葉たくみお金を巻き上げる詐欺師に見える。2月8日のブログでも書いたが、国民負担率を1975年の25.7%から2023年の46.8%にまで上げておきながら、この上まだ負担率を上げようとしている現政権に憤りを禁じ得ない。
 こんな状態になっている理由は、岸田政権が財務省の言いなりになっているザイム真理教政権だからである。歳出を抑え、歳入は取れるところから取れるだけ徴収することが政治家の使命とでも考えているような連中が、この国を貧困へと導いているのである。
 自民党の財政健全化推進本部は、財務省の教理である「基礎的財政収支プライマリーバランス)の黒字化」を標榜する党内組織であるが、その本部長 山口廣秀氏が先日、「PB目標先送りの声もあるようだが、それは本末転倒だ」と述べた。そんな財務省の目標が何故政治目標になるのだ と言いたい。政治家の本分とは、国民を幸せにすることであって、PBを黒字化にすることではないだろう、お前こそ本末転倒である。彼の発言はなおも続く。「日本の財政状況は世界で断トツに悪い。信認を損なわないためにも、財政健全化の努力は絶えず続けていかねばならない」と。健全性は、企業の財政も国の財政も資産と負債のバランスで見るのが常識であり、日本の財政は負債を超える資産を保有しているから健全だ と言いたい。ザイム真理教の催眠から目を覚まし、もっと勉強して真実を見極めよ とも言いたい。
 岸田政権は、昨年度より5兆円も少ない超緊縮の令和6年度予算を成立させた。いよいよ新年度が始まるが、岸田政権は国民に気付かれないよう、ステルス増税を仕掛けてくるだろう。こんな政権をいつまでも続けさせたら、日本が本当に二等国に成り下がってしまう。