タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日韓少子化比較

 今年は閏年でオリンピックイヤーである。昨晩、サッカー女子のパリ五輪最終予選が行われ、なでしこジャパン北朝鮮に勝ち五輪切符を手にした。その北朝鮮と同じ民族である韓国から「合計特殊出生率 0.72」という衝撃的なニュースが飛び込んできた。韓国の少子化は、異次元の少子化対策が必要な日本をはるかに超えて深刻な状況にある。

 上図を見ると、韓国の少子化に歯止めがかからない状況にあることが分かる。この要因として、住宅価格の高騰や雇用不安に伴う晩婚化、加熱する受験競争を背景とした教育費負担増が指摘されている。
 晩婚化の指標となる初婚年齢を日韓で比較すると、韓国が{男性33.7歳、女性31.3歳}に対し、日本が{男性31.1歳、女性29.7歳}であり、日本の方が2歳ほど若い。この2歳の差は小さくはないと思われるが、結婚が多少遅れても妊娠可能な年齢の範囲内にあることに変わりはないので、この差が日韓出生率の大きな差の主因ではないと思われる。それで、他の要因を調べていたら、日本と韓国の大きな差を示すデータが見つかった。未婚率である。

 上図は韓国と日本の未婚率の推移を表す。注目すべきは、30代前半(30-34歳)の年齢帯で、韓国(男女)の未婚率が右肩上がりで勢いを緩めず上がる一方であるのに対し、日本(男性)の未婚率は47%台で高止まりとなっている(女性は35%)点である。また、この未婚率の上昇スピードも韓国では速く、1980年代で20%(女性は10%)に達していた日本の未婚率に、韓国は20年遅れの2000年に肩を並べ、その後の20年間で完全に抜き去った。この未婚率の大きな違いが、日韓の出生率の大きな差となって現れていると思われる。
 さて、晩婚化以上に未婚化が大きな問題だと分かったわけだが、これらの根底にあるのが「若者世代の貧困化」だと思われる。下表は日本の男性の雇用形態別有配偶率であるが、雇用形態の違いで有配偶率に大きな差があることが分かる。そしてこれは、経済的に安定している男性ほど有配偶率が高いという至極もっともな傾向を表している。私が思うに、少子化を止める一番の施策は、若者世代の収入を増やし、彼らに明るく豊かな未来を期待できるようにすることではなかろうか? それには、まずは経済を好循環の波に乗せることが肝要であり、間違っても(彼らに補助金をばらまくため)国民負担率を上げ、経済を冷やすようなことがあってはならない。