タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

ウクライナ侵攻から丸2年

 今日24日で、ロシアがウクライナに侵攻してから丸2年が経過した。ここ半年ほど戦況に目立った変化はなかったが、先日、激戦地のアウディイウカからのウクライナ軍の撤退が伝えられ、東部戦線でのウクライナ軍の劣勢を知らされるに至った。

 また最近、西側民主主義陣営を震撼させたのはナワリヌイ氏の死亡であり、その死の3日後に、彼の収監生活に関与したとされている矯正当局の幹部が昇進していたというニュースを聞くに至っては、独裁者プーチンの横暴を西側諸国が一致団結して阻止しなければならないとの思いを新たにした。今日は、ロシアの内情を探ってみた。
 2023年のロシアの経済成長率は 3.6%(速報値)と伝えられており、数値だけを見ると決して悪くない経済状況が想像される。しかしながら、この経済成長をけん引するのは、政府支出の2割を占める国防費であり、戦車や砲弾をどんどん生産しウクライナで湯水のごとく消費して経済を回している様子が見えてくる。2024年には、この比率が3割に達する計画であり、ロシアは正に戦時経済となっていて、戦争を止めれば経済も止まり不況を招く状態に陥っていると言える。
 ロシアに対する制裁が効いていないと言われているが、以下の図を見ると確かに効いていることが分かる。ロシア産の原油(ウラル原油)は、ウクライナ侵攻以降、重要な原油価格指標となる「北海ブレント原油」に対し1バレル当たり数十ドル安値で取引されるようになっている。買い手(制裁抜け道の相手)から買い叩かれているのである。

 最近のウラル原油の価格動向を調べてみたが、どうも、闇ルートの情報はネットに公開されてないみたいだったので、ブレント原油価格から20ドル程度下げた値で、最近のウラル原油価格推移のグラフを作ってみた。

 上図からは、ウラル原油価は昨年7月から上昇に転じ、9月10月と高値の状態にあったが、その後の冬期間は軟調に推移していることが分かる。これから需要が減退する季節に向かうのだから、ロシア経済にとって、この原油価の低迷(1バレル=80ドルに届かない)は、かなり頭の痛い問題になるであろう。

 上図は、ロシア通貨であるルーブルの為替レート と ロシア政策金利の推移を表している。これを見ると、ロシア金融当局がルーブル安防衛のため、必死になって政策金利を上げてきたことが分かる。現在の政策金利が16%であり、もはや異常な水準域にまで入っているのに、ここ最近またルーブル安の兆しが見えてきた。こんな状態の国は、為替のハゲタカ・トレーダにとっては格好のエサに見えることだろう。ハゲタカたちは、先々のルーブル安を見越してルーブル先物空売りを仕掛け、ロシアからなけなしの外貨をむしり取っていくことになる。この地獄から逃れる手立ては「戦争を止めること」しかないのだが、そんな選択肢は、東部戦線好転で高揚感に浸っているプーチンの頭の片隅にもない。
 さて、このようにしてロシアの内情が見えて来ると、ロシア国民が哀れに思えてくる。ロシアが例えこの戦争で一部の陣地を更に奪い取っても、ロシアという国の没落が既に始まっていることになる。北斗の拳ケンシロウなら、プーチンに向かってこう言うだろう。「お前はもう負けている」と。