タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

EVの不都合な真実とブレークスルー

 昨日のブログでは、リチウムがどのようにしてこの世に生まれたかを書いた。リチウムは今、EV(電気自動車)の普及に伴い世界中で争奪戦になっているようで、リチウム鉱山の開発もあちこちで進められており、これらが引き起こす環境破壊も問題になってきている。トヨタの内部資料で、「EVの不都合な真実」と呼ばれているものがあるが、その中でトヨタは、
1.(EVを米国の)大半の公共充電施設で充電するには8時間から30時間掛かる
2.連邦政府が抱える二酸化炭素を出さない自動車の販売目標達成には120万箇所の公共充電施設が必要。その為には毎日400箇所の充電設備を申請しなければならない。
3.2035年までに想定されるバッテリー需要を満たす為には、新たに300箇所以上のリチウム・ニッケル・コバルトなどの鉱山が必要
4.航続距離の長いバッテリー搭載でEVに使用される原材料の量があれば、プラグインハイブリッド車を6台、ハイブリッド車を90台生産できる。
と訴えている。
 そのトヨタが6月に、EVのブレークスルーとなる驚くべき発表をした。全固体電池の実用化に目処がついたのである。

 上図は、現行のリチウムイオン電池全固体電池の違いを表している。現行のリチウムイオン電池では、液体電解質の中をリチウムイオンが移動するが、発火事故、充電時間が長い、充電量が少ない といった欠点がある。一方で全固体電池は、電解質が固体であり、今までの液体電解質電池の欠点を全て解決できる優れものとなる。

 上表は、6月のトヨタの発表内容をまとめたものだが、全固体電池搭載車の性能が、航続距離においても、充電時間(給油時間)においても、ガソリン車並みになっていることが分かる。
 このトヨタの発表を聞いて、世界中の自動車メーカが腰を抜かした。今まで、「全方位戦略」としてEVだけに注力せず、「トヨタはEVで後れをとった」と言われて来ていたトヨタが、その注力していなかったEVにおいて、いきなり世界のトップに躍り出たからである。これまでEVで先行していると言われていた欧州や中国の自動車メーカも、やがてはこのトヨタの最先端技術に屈服するに違いない。今EVに注力しているメーカは、補助金と富裕層相手の商売で何とか我が世の春を演じているだけなので、トヨタはこの歪んだビジネス構造にもメスを入れ、一般大衆にも、高級志向者にも、それぞれに合った商品をリーズナブルな価格で提供してくれるであろう。

 上図は、トヨタの全固体電池に関する、数ある特許の中一つの説明図である。ハイブリッド車開発でもそうだったが、トヨタは特許においても技術ガードが固いので、他の自動車メーカは、一周遅れで技術供与を請いながら付いて行くだけになるのではなかろうか?