タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

H3ロケット打ち上げ失敗で思うところ

 昨日、H3ロケット1号機発射失敗のニュースが流れた(注)。実に残念なことである。私は大学を卒業し会社勤めを始めた頃は機械設計のエンジニアをやっていたので、自分が設計した機械が試作を経て量産になった時の喜びも、量産までに至らなかった苦しみも良く分かる。H3ロケットの開発陣は今頃、さぞや失意の中で「今度こそ」という闘志を燃やしているに違いない。
 H3ロケットは三菱重工の製品であるが、三菱重工と言えば先日、ジェット旅客機「スペースジェット(SpaceJet)」の開発中止の決定を発表したばかりであった。この "スペースジェット"、前身がMRJ(Mitsubishi Regional Jet)と言って、国産初のRegional(中距離)Jetを世に出すことを目指していた。MRJの開発計画は2003年に始まり、2005年に構想図、次いで新技術の結果を受けた計画図、2006年までに製造図面を起こし、同年より機体の試作、組立に入る となっていた。丁度その頃、私は機械製品の開発プロジェクトから外され、システム開発のプロジェクトマネージャをやっていた。MRJは日本初のジェット機を作ろうとするプロジェクトであったが、私も日本初のシステムを作ろうとする思いでいたので、MRJ開発プロジェクトは当時私の励みになっていた。結果的には、私が企画構想したシステムは2006年に米国の現地法人に導入され、無事1号機を世に出す形となり、その後2号機、3号機と世に出て全世界に展開され、プロジェクトは成功に至った。一方でMRJの方は開発遅延が常態化し、米国の型式認定も得られず、今年に入ってとうとう開発中止が正式に決まった。
 三菱重工は防衛産業の要である。自衛力さえ憲法違反と言われる中、そこで働く従業員は粛々と自らの務めを果たしてきたはずである。希望的なことを言えば、例え予算額で(金額で)敵国に負けようとも、技術だけは絶対に負けて欲しくはないのである。技術で負けてしまったら終わりなのである。そんなことを考えながら、改めて打ち上げ失敗を残念がる私であった。

P.S. (注)
 今回は異常検知センサ作動による補助エンジン点火中止だから、早く原因究明し、致命的な問題でないと判明したのであれば、早々に再チャレンジして欲しいものである。