タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

秋ナスとカマキリ


 家庭菜園のナスがようやく実を付け始めた。我が家では、ナスは例年2株のみ栽培しているが、今年は先月初旬に株が弱ってきて収量ゼロの日が続いたので、枝を切り込み、葉を数枚残すまでに剪定した。そしてそれと同時に、株から半径30cmぐらいのところを掘り込んで根切りもして、化成肥料を追肥した。あれから一ヶ月が過ぎ、新しい枝葉は私の身長を超え、花が咲き実を付けるまでになった。秋ナスである。
 ただ、今年の夏は酷暑で雨がほとんど降らなかったので、収穫量は期待薄である。妻は「丈ばかり伸びて実が少ない」と笑って言うのだが、別にこれで生計を立てているわけではないので、もし収穫量が少なければ、みんな今年の異常な夏のせいにして、私も笑い飛ばすだけである。
 今日はナスの葉の上にカマキリを見つけた。夏の間に成長し体も随分大きくなっていた。カマキリは秋の季語である。秋ナスとカマキリで一句詠もうとすると季重なりとなり、NG俳句になってしまう。今日も暑く真夏日となる予報だが、今朝の家庭菜園は正に秋の雰囲気に満ちていた。暑くても、もう秋なのである。

P.S.
 秋ナス作りのための剪定作業は、肥大化した組織に大鉈を振るう経営の構造改革に似ている。ナスにおいては、成長の過程で、脇芽がどんどん生えてきて、限りある太陽光を自らの仲間内で奪い合うようになる。また土中では、そんな枝葉に水と養分を送るため、四方八方へ根を張り巡らすが、根張りがある程度進んだところで、養分吸収の仕事がメインになってしまい、新規根張りエリアの開拓がおろそかになってしまう。
 これは、ナスと企業の対比の中で、秋ナス作りのための剪定作業を企業の経営刷新に例えれば、葉を、少ない顧客を奪い合う営業部門、根を、新規開拓がおろそかになってしまった企画開発部門になぞらえることができる。経営不振に陥った企業を復活させるには、まず企画開発部門に営業案件対応処理ばかりさせず、本来の企画開発の仕事ができるようにすること(枝葉を剪定して根を休ませ根張りの準備をさせること)。そして、従来の組織を刷新して(根切りして)、新しい開拓分野に人材資源を投入すること(追肥して根切り後生えた根が十分養分吸収できるようにすること)となる。