タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

インボイス制度って何?

 最近「インボイス制度」という言葉をよく聞く。来月から実施されるそうだ。今日はインボイス制度について調べてみた。

 上図は消費税の納税フローにインボイス制度の要点を追記した図である。消費税は消費者が負担し課税業者が納税する。インボイス制度の目的は「取引における正確な消費税額と消費税率を把握すること」と法案には書いてあるが、政府や財務省のもくろみは「取り損ねている消費税をきちんと徴収できるようにする」というところだろう。取り損ねている部分は、免税業者からの徴収、仕入れ税控除 の2つとなる。
 今回、反対意見をぶち上げているのは、今まで消費税納税を免除されていたフリーランス事業者(売上1000万円未満の小規模事業者)である。インボイス制度が始まると、今まで仕入れ税控除となっていた取引に対し、もし「適格請求書」が無ければ控除が受けられなくなり、その分の消費税を課税業者が納税することになる。そうなると課税業者は仕入先に「適格請求書」による取引きを求めることになるが、免税業者が「適格請求書」を発行するには課税者登録が必要となり、これは免税業者が納税することを意味する。
 さて、私は65歳で退職後、3年間フリーランスとして ある会社のお手伝いの仕事をやっていた。その頃は毎月末にその会社に指示された書式で請求書を発行していたが、その請求書の中身の項目は、①業務委託料、②消費税(①の10%)、③源泉所得税 であり、私には ①+②ー③ の金額が支払われていた。この頃の私は、消費税込みの給与をもらっていたことになるが、私は免税業者だったので消費税は納税しなかった。もし、私がまだフリーランスを続けているなら、この10月からは、「私は課税者登録はしないので、私への支払いは消費税抜きで構いません」と言うことだろう。両者間でトラブルが発生することはない。
 つまり、今回の問題の元凶は、課税事業者と仕入先との間において、消費税の存在を明確にしないままやっていた杜撰な取引きのやり方にあると言って良い。ただ、そうは言っても、日頃からそんなきちんとした商取引をしていない人達にとって、今回のインボイス制度は、「貧乏人からお金を巻き上げる悪政」と映ることだろう。私も同感である。こんな庶民に苦労ばかり掛けて、期待できる税収増はほんの僅かしかないのだから。
 もう直ぐ10月となるので、ここでいくら反対してもインボイス制度は止められない。免税業者がやるべき作戦としては、経過措置が3年あるので、直ぐに課税者登録をせず様子を見ることである。3年間は、たとえ適格請求書が無くても、仕入れ額の8割は控除が認められるので、もし適格請求書を発行しないことを理由に課税業者が取引停止を要求してきたら、「公正取引委員会に訴える!」と言えば良い。値下げを要求してきたら、「控除されない2%分だけ値下げしましょうか」と言えば良い。3年経てば、次の3年間の経過措置が発動するが、その頃には、この仕組みが世間に馴染んだものになっているかもしれないし、廃止の方向に動いているかもしれない。今後どうなるか分からないということで、しばらく様子を見ることが肝要である。