タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

水利権

 裏の田んぼに水が入り代掻きが間近となった。自宅前の側溝にも水が流れ始めた。側溝と言っても扱いは農業用水路であり、管理者はこの地区の農業委員である。側溝に転落脱輪防止用の鉄板を敷こうとした時は、この委員の許可を取る必要があった。

 上は、近所で行われている公園整備工事の風景である。元々は小さなゲートボール場があって、その周りが原っぱとなっていたものだが、周りの原っぱを市が買い取り、大きな公園を作ろうと工事が進行中である。田舎の公園にありがちな話だが、この公園予定地の中央を農業用水が流れている。もちろん、公園ができた後も下流の田んぼには水を流す必要がある。近隣住民への公園造成説明会で、「用水路の安全対策はどのようにするのですか?」と質問したところ、市側の回答は「農業用水路であり完全に蓋をするのは無理だと思います。どのようにするかは今後決めていきます」とのことであった。今朝見たところ、この農業用水路は、流路が暫定的に変更されており、水は現在別ルートを通って下流へ流されていた。
 水利権の問題と言えば、リニア中央新幹線の工事が大井川の水問題で大幅に遅れており、2027年開業が絶望的となっている。静岡県知事は「静岡県民の命の水を守り抜く」と言っているが、水はトンネル工事で局所的な流路変更や地中への漏水があろうとも、大局的には低い静岡県側へ流れ、地中へ一旦浸み入った水も最終的には静岡県側に湧き出るのだから、常識的に考えれば、静岡県知事の主張に説得力はない。影響を受ける近隣市長協議会までもが、知事に現実的な対応をお願いするに至っているが、JR東海静岡県知事の確執は深いみたいで事態は膠着状態となっている。全くもって困ったものである。そろそろ国が動かなければならないのではなかろうか。

P.S.
 以下の図は大井川流域の市町村を示す。この流域は、フォッサマグナの西端である糸魚川-静岡構造線の西側に当たる。

 フォッサマグナができたのが今からおよそ1600万年前。従ってこの大井川流域の地盤は、それ以上古い地質岩盤でできていることになる。このように地球の悠久の気持ちで考えたら、山梨の水か静岡の水かと争っていることがいかに愚かしいことかが分かる。