タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

摩訶不思議な量子の世界がこの世に存在する

 今日のテーマは量子生物学。ネット記事を読んでいたら、最近量子生物学の急速な発展により、さまざまな生命現象と量子効果の関連性が明らかにされつつあると書いてあった。「量子力学」という言葉は、大学教養課程における物理化学の講義で、全く理解できず四苦八苦したことを思い出させる。
 人間、直感に反することが真実だと言われたら、理解に苦しむことになる。光が粒子でもあるし波でもあると言われたら、実際はどんなものかをイメージできない。でも、それが真実だと言われたら、イメージできないまま受け入れざるを得ない。受け入れるが腑に落ちないから、理解したことになってないのである。
 たとえ話で説明してみよう。今、夜空に光る一つの星が(例えばシリウスが)地球から8光年ほど彼方に輝いていたとする。光は波であるので、その星で8年前に発せられた光は、その星を中心として半径8光年の巨大な球面上の波として現在存在し、その波のほんの一部が地球に届いている。この波の状態では、光はその巨大な球面上に遍在していて、その波としての光があなたの眼の水晶体を通るまでは波である。ところがその波としての光があなたの網膜に到達し、そこにある視細胞のロドプシンに捉えられた(観測された)瞬間粒子の状態となり、巨大な球面上に遍在していた波が、突然あなたの網膜に局在する粒に変わるという。ほんまかいなと言いたい。
 量子的性質を示すのは光ばかりではない。江崎玲於奈博士はトンネル効果を応用したエサキダイオードノーベル賞を受賞したが、このダイオードの中のトンネル効果の場合は、電子が量子的性質を示す。すなわち、通常は粒子と考えられている電子が波となって絶縁体をすり抜けるのである。
 さて、電子までは非常に小さな粒子であるから、「波として振る舞うこともある」と考えていたのだが、今日のネット記事では、水素原子が量子的に振る舞いトンネル効果で移動すると書いてあった。

 上図はトンネル効果で移動する水素原子を示している。グアニンもシトシンもDNAを構成する塩基であり、この2つの物質間で水素原子が、今まで考えられていた活性化エネルギーより遥かに低いレベルで移動するとのこと。そしてこれは、突然変異がより高頻度で発生していることを意味する。
 科学が発展し、今まで謎であったことが解明されるのはうれしいが、解明されたことが理解できないのは寂しいものである。