タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

オリオン座α星 ベテルギウス

 今夜は北陸の冬にしては珍しく良く晴れていて、上弦の月の左下方にオリオン座がきれいに見えた。世間では新型コロナウイルスの話題で暗くて陰鬱な雰囲気が立ち込めているが、こんな時は夜空を見上げ、広い宇宙の中の悠久の時の流れを見つめるのが良い。
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 写真左はオリオン座の中のα星ベテルギウスの位置を示す。ベテルギウスは赤色に輝く超巨星であり、表面温度が3590Kと低く、50数年前 私がまだ小学生の頃、少年向け科学本には「赤色超巨星は生まれたばかりの若い星」と書いてあった。その後の科学技術の進歩により、今では赤色超巨星は「恒星の臨終前の最後の姿」と言われている。この恒星の内部では水素の核融合からヘリウムの核融合へと反応が進み、炭素や窒素が生成中である。また、写真右に示すように直径が膨大に膨らみ、この恒星の中心を太陽に置いた場合、表面は木星軌道にまで達している。
 私が兼ねがね期待しているのは、このベテルギウス超新星爆発である。ベテルギウスは写真で見るようにきれいな球体の形から外れていて、最期の不安定な時を必死に生きるように変光を繰り返しているので、「いつ超新星爆発が起きても不思議ではない」と言われている。この星がもし明日超新星爆発を起こしたのなら、この星までの距離が640光年あるから、それは640年前、すなわち1380年に起きた出来事を見ることになる。室町時代足利義満が権勢を振るっていた時代の光を見られたら一体どんな気分になるのであろうか?
 また、我々が住む天の川銀河超新星爆発が起これば、ニュートリノ観測のスーパーカミオカンデ重力波観測のKAGRAをフル稼働させて超新星爆発の内部プロセスの進行が一挙に解明されていくだろう。私が生きている間に是非ともそのまばゆい閃光を拝みたいと思っているのだが、専門家は「遅くとも10万年以内には超新星爆発が起こるだろう」と予想しており、人間のタイムスケールが宇宙のタイムスケールに比べていかに小さいかを感じずにはいられない。