タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

秋の気配

 今朝のウォーキングでツクツクボウシが鳴く声を聞いた。小学生の頃は、このツクツクボウシの声を聞いて夏休みが終盤に入ったと思ったものである。ツクツクボウシは夏の終わりに鳴き始める。他のセミは、『夏が来て土中の温度がある一定値以上になった時に土中から這い出て羽化する』と考えれば良いのだが、このツクツクボウシについては、土中で何をセンシングして夏の終わりごろに羽化時期をコントロールできるかが分からない。土中生活が1年ならまだしも、何年も続けた後の、季節の変わり目のこの時期に照準を合わせる制御方法が思いつかないのである。
 しばらく歩き続けると、草むらからコオロギの鳴く声が聞こえ、稲の香りが漂ってきた。下は裏の田んぼであり、稲穂が垂れる状態になってきた。

  早稲の香や わけ入右は ありそ海
 上は、芭蕉奥の細道の道中、越中の地で詠んだ句である(ありそ海とは富山湾を意味する)。芭蕉がこの句を詠んだのも、稲の香が漂い始めた今頃だったのであろう。そしてこれは想像だが、芭蕉奥の細道を旅した夏は、きっと暑い夏だったのであろう。何故なら、芭蕉が山形の山寺(立石寺)で「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだ日が今の暦で 7月13日とされるからである。7月上旬に東北でセミが鳴いている夏は、暑い夏であったに違いない。