タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

一帯一路の真相

 昨日のブログでは、インドネシア高速鉄道建設が中国援助の債務の罠にはまっていることに触れた。今日は、中国が進めた「一帯一路」という広域経済圏構想が、この10年間で世界にどのような影響を及ぼしたかについて調べた。
 10月17~18日に北京で一帯一路国際協力サミットフォーラムが開催された。一帯一路とは、中国が提唱する「中国と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏構想」であるが、今年は活動開始から10周年の節目の年になる。この10年間の中国にとっての成果としては、
 ①国連での中国支持票の獲得など国際社会における地位向上
 ②AIIBの発足による国際開発金融分野でのプレゼンスの拡大
 ③貿易の拡大、工事の受注、原油の安定調達の実現といった経済的な恩恵
が挙げられる。以下の図は、今年の4月に岸田首相が訪問したアフリカ4ヶ国に対する中国の融資額を示すが、一帯一路により、いかに多額のお金が世界にばらまかれたが分かる。
   
 このお金の出どころとして、AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)が設立されたが、米国や日本は不参加を決めた。ただ、資金力が豊富なこの2国が参加しなくても、中国は、一帯一路プロジェクトを外貨(ドル)無しで進める秘策を用意していた。この秘策とは、
 -1.港湾や高速道路、鉄道などインフラを融資付きで受注する
 -2.受注者は中国の国有企業とする
 -3.融資するのは中国の国有商業銀行
 -4.従事する労働者の大半は中国人
 -5.このようにして受注側決済は「人民元決済」とする
 -6.完成後の負債は全て現地政府に押し付ける
 -7.返済は全額外貨建てとする
昨日も述べたが、融資利率は高く正に高利貸しの商法となっている。そしてこれは、「人民元を刷って外貨に換える錬金術」でもあり、通常の銀行が重視する「採算性評価」とか「リスク(不良債権化)評価」とかは大して重視されず、中国共産党政府が決めた案件がそのまま承認され、その案件にじゃぶじゃぶ資金が投入された。
 一帯一路の負の側面として、「債務の罠」という言葉がある。実際スリランカは、この債務の罠にはまり、建設した港湾を中国企業への租借地として99年間リースするに至った。もちろん、案件全部が債務の罠に陥っているわけではないので、一帯一路には、明と暗の2つの側面があると言える。