国民民主党が主張する「基礎控除を103万円から178万円に拡大」政策に対し、ネガティブキャンペーンが始まった。林芳正官房長官は昨日、国民民主党が主張する「103万円の壁」の引き上げにより、国と地方で7兆円から8兆円程度の税収減になるとの見通しを明らかにした。財源が問題になることは間違いないが、ここ数年で国の財政事情が随分改善していることは一切言わない。マスコミも財務省の試算額をそのまま垂れ流すだけで、ザイム真理教の広報機関に成り下がっているから始末に負えない。
上は昨年度の一般会計決算の概要だが、歳入が歳出を上回って12兆円を超す余剰金が発生し、これを9兆5000億円の国債発行減額にて調整している。最近、国の財政状況はどんどん改善している。ここ最近のインフレは、国が富み民が貧する形で作用しているのである。取り過ぎた税金は減税にて民に返すべしという国民民主党の主張は実に真っ当なものとなる。
だいたい「財源は?」と問題にすること自体、既に財務省に洗脳されていると言って良い。4月のブログで、外為特会の埋蔵金の話をしたが、現在、日本の外貨準備高は180兆円で、そのほとんどが米国国債の形で使われずに埋蔵されているが、この国債の利子だけでも年間4兆円を超える収益となる(埋蔵金が毎年4兆円増えている)。国民民主党の玉木代表は元大蔵官僚であり、こういう財務省が隠す裏事情を全て熟知した上で今回政策提言している。そしてその上で、最終的には議論して決めましょうと言っているのである。
林官房長官は、「基礎控除等の所得控除については、高所得者ほど減税の影響額が大きくなることは事実だ」と述べた。これは事実だが、聞きようによっては「高所得者ほど減税額が多くなる金持ち優遇政策」と聞こえる。
上は、非常にざっくりとした簡易計算にて低所得者と高所得者の減税感の違いを表したものである。今回、控除額が75万円増えると、それは低所得者にも高所得者にも同額の控除額増大として働くが、低所得者と高所得者の所得税率の違いにより、高所得者の方が減税額が大きくなる。ただ、減税額を所得で割った減税率は低所得者の方が高い。この減税率は、手取りが増える率でもあるので、この政策は低所得者により効果的に働く良策となる。
なお、今回仮にこの壁の高さが103万円から178万円に引き上げられたとしても、年収には、106万円や130万円の「社会保険料の壁」があるので、年収の壁の全てが178万円に引き上げられることにはならない。