タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

光はなぜ曲がるのか?

 昨日のブログでは、大質量星の付近で重力レンズ効果により光が曲がると書いた。相対性理論による説明では、「大質量星付近で空間が曲がり、光はその曲がった空間に沿って進むから曲がる」となるのだが、以下の図を見ていて、密度が高い方へ光が曲がっているイメージが広がった。ただ、ここで言う密度は真空中の物質密度ではなく、星の中心に向かう重力ベクトルが密集する仮想空間の密度である。

 密度の高い方へ光が曲がる現象は、以下の蜃気楼の例でも示すように自然界でも良くみられる。富山湾で見られる蜃気楼は、上空の暖かい空気(密度)と雪解け水が流れ込んだ海面付近の冷たい空気(密度)が作り出す現象である。光が空気密度の高い方へ曲がるから、蜃気楼という「虚像」が出現する。

 以下の図は、先日の皆既月食の際の説明図であるが、我々は皆既月食の時ばかりでなく、日没時の夕焼けも含めて日々、大気濃度の高い地球側に曲がる赤色光線を見ていることになる。

 密度変化が緩やかな場合、光は密度の高い方へ徐々にカーブする。この密度変化が急激になると光は屈折する。以下のプリズムの例は、密度が薄い空気中から密度が高いガラスへ入った時(密度変化が大きかった場合)、光が屈折することを示している。
 
 以下の図は光が屈折する理由を「ホイヘンスの原理」を使って説明している。光が水中に入った瞬間、同時に発生した赤で示す素元波は、左方の素元波ほど空中を伝わる部分は少なく、逆に、右方の素元波ほど空中を伝わる部分が多い。よって左方の素元波より右方の素元波のスピードが速くなり、その結果、次の波が左に曲がった(屈折した)形で生じるのである。
  
 さて、上の説明は、光のスピードが空中より水中の方が遅くなることは常識として解説されているが、何で遅くなるのか今まで考えたこともなかった。それから、プリズムでなぜ光が分光されるかも解ってないことに気が付いた。今日はその辺りも調べた。以下に調査結果を示す。
1.光の波長は屈折率nの媒質の中で1/nになる
 光はどんな媒質の中でも振動数 ν は変化しないが、波長 λ は1/n(n:媒質の屈折率)になる。速度は波長*振動数であり、従って速度は媒質中では1/nに減速する。
 光のエネルギーEは、E=hν(h:プランク定数、ν:振動数)で表せる。従って、エネルギー保存の観点から振動数 ν は媒質中も不変となる。媒質中で光の波長が何故1/nになるのかは調べたけど分からなかった。
2.媒質の屈折率nは光の波長に依存する

 上図は、アクリルの屈折率が光の波長が長くなるにつれて小さくなることを示している。この傾向は媒質がガラスの場合も同様で、短波長の紫の光に対しては屈折率が大きく、長波長の赤の光に対しては屈折率が小さい。太陽光がプリズムに当たると、屈折率の大きい紫光は大きく屈折し、小さい赤光は小さく屈折する。その結果プリズムで太陽光が分光されることになる。

<まとめ>
 光は密度差がある媒質を進む時、密度の高い方に曲がる。この理由は、密度の高い方が光の屈折率が大きく、光の速度低下がより大きくなり、より強くブレーキが掛かる形となるからである。