今年は各地で6月中に梅雨明けとなり、ここ北陸地方でも今日梅雨明けが発表された。早々と暑い夏がやってきて、蝶やトンボが飛び交い、蚊やハエに悩まされる季節となった。昆虫類は、完全変態するものと不完全変態するものに分けられるが、今日はその辺りを進化の観点から調べてみた。
上図は昆虫類の進化系統樹である。この系統樹の中で、完全変態するものと不完全変態するものとが枝分かれし、区分されている。この図の中で、一番先に枝分かれしたものが「変態しないもの、翅を持たないもの」と区分されている。また、昆虫類の区分として、**翅目というグループが沢山あることが分かる。これは昆虫類が、進化の過程で翅を獲得したことで、活動領域を広げ現在の大繁栄に至っていることを示している。
昆虫類は化石に残ることが少なく、どのように進化してきたかが今まで解明されていなかった。ところが、最近になって昆虫類のゲノム解析が進み、進化系統樹も描けるようになってきた。また、1990年代から、現存する生物の発生を分子レベルで比較することで生物進化のしくみ解明を目指す進化発生学という分野が生まれ、進化の過程が実験的に解明されるようになってきた。
上図は進化発生学の手法を使った実験結果であり、昆虫の翅がどのように生まれたかを示している。この研究において、不完全変態サンプルとしてフタホシコオロギ、完全変態サンプルとしてキイロショウジョウバエを使い、他の昆虫の研究から明らかにされていた翅形成に関わるマーカー遺伝子が、発生の過程でどの部位に発現するかが調べられた。その結果、昆虫の翅は、完全変態および不完全変態ともに、背板で発現した遺伝子が背板を肥大化させ翅形成に至ることが確認された。