タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

昨日に続き今日も地震

 昨日に続き今日も能登地震があった。携帯に緊急速報がけたたましく鳴り、その数秒後に震度3ぐらいの揺れが襲ってきた。今日は能登地震のメカニズムについて調べた。

 上図は、昨日と今日の地震、および2007年の能登半島地震震源地を書き込んだ地図である。東日本大震災の規模はM9.0であったが、昨日今日の地震の規模(M5.2, M5.0)とマグニチュードでおよそ4違う。マグニチュードが2違えば地震規模は1000倍異なり、4違えば地震規模は100万倍異なる。東日本大震災のように、太平洋プレートが日本海溝へ沈み込む際の歪みの蓄積により起きる地震は非常に大規模になるのだが、能登で起きている地震は、メカニズムが違うような気がした。ただ、下図が示すように、能登半島はプレート境界付近にあるから、同じメカニズムで小規模な地震が起きている可能性もあると思った。
  
 それで更に調べたら、地震のメカニズムを書いた資料が見つかった。
 
 上図は2007年の能登半島地震の発生メカニズムを示している。この文献(by金沢大学)によれば、およそ2500万年~1500万年前に、ユーラシア大陸の一部が大陸から離れて日本列島として形成される中、それと同期して日本海が拡大し、プレートに引っ張りの力が働く中で火山活動も活発となり、能登半島が形成された。そしてこの引っ張りの力に応じて多数の断層(正断層)も形成された。現在はその当時とは反対に、地殻に圧縮の力(西北西-東南方向の圧縮力)が働いていて、断層も正断層から逆断層の状態へと変わっている。2007年の地震は、この能登半島形成時にできた断層の一つが動いたことで生じた。
 上図は、昨日起きた地震のメカニズムを示している。能登半島の先端(珠洲市付近)においては、このところ地震が多発しているが、この多発の理由として、①太平洋プレートの沈み込みに伴い地中に取り込まれた水が、②能登半島の地下の辺りで上昇し、地下十数km付近に水の「塊」が形成され、断層面が滑りやすくなっている との可能性を解説している。こちらも、「断層面が動いて地震が発生した」という意味では2007年地震と同じメカニズムである。ただ、断層がより動き易い状態にあるようなので、「群発地震」の様相を呈しているのである。
 さて、能登半島には志賀原子力発電所があり、原子力規制の新基準である「活断層露頭の上に原子力発電所を建ててはいけない」に合致しているか否かの審査が続けられている。人を裁くときは、新たに作った法律でその法律ができる前に犯された罪を裁いてはいけないという原則があるが、人ではなく物を裁くときは、後から作った新基準で以前に作成された物を裁いても良い。志賀原発の敷地にも断層が存在するが、今審査委員会は、それが活断層か否かを審査している。一般の人は、『偉い専門家が決めた基準だから、それに合格すれば絶対安全だし、基準を満たさなければ危険だ』と思ってしまうが、そうではない。非難を承知で言えば、活断層の上に建てられた原子力発電所において、廃炉までの向こう50年間でその活断層が動くことで地震が生じる可能性はほとんどないし、活断層ではないと判定された断層が動く確率はゼロではない。
 基準を作る仕事が非常に難しいことは理解できるが、一旦作られてしまえば、それが葵の御紋のように絶対的なものになる。福島原発津波により制御不能に陥ったが、地震の揺れには持ち応えた。能登半島に起きる地震で大きな津波が生じる可能性は限りなくゼロに近いだろう。そう考えると、もっと違った良いやり方があったような気がする。