タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日本列島と日本海の形成

 一昨日の地元紙に『日本海誕生時の海底火山活動の跡』という記事を目にした。2/8のブログ『福井県で発見された恐竜』の中で、「日本列島が大陸から分離したのは1700万年前」と書いたが、今日はその頃の日本列島と日本海の形成状況を調べた。
 地元紙は、「上市町稲村地区の地表に露出した地層(露頭)が、日本海誕生時の海底火山活動によって形成されたと推定されることが、立山黒部ジオパーク協会の調査で分かった。」と伝えていた。上市町稲村は、剣岳から流れ落ちる早月川が平野部に出たところに位置する。この辺り(富山県東部)は、糸魚川ー静岡構造線の西側となり、ジオパークにすべき地学的名所が沢山有りそうなところである。
f:id:TatsuyaYokohori:20220215134748p:plain
 露頭で見られる地層は1600万~1700万年前のものと推定され、日本海が完成する前の火山活動が激しかった時期と重なるとのこと。 
    f:id:TatsuyaYokohori:20220215135521p:plain
 上図で示す複雑に褶曲した地層が見られるので、地学の実習には持って来いの場所になりそうである。ところで、この複雑な地層が形成された1600万~1700万年前、日本列島はどんな状況だったのだろうか?
f:id:TatsuyaYokohori:20220215135857p:plain
 稲村地層が形成された頃の日本列島は、上図の真ん中の絵の状態にあった。日本列島は6000万~5000万年前まではまだ大陸の一部であったが、その後大陸から剝がれ落ちるように分離し、稲村地層が形成される頃には、西日本と東日本が真ん中で折れ曲がるような形へと形成が進む。そしてこの頃は、日本海の海底火山が活発に活動していたと想像される。富山県はまだ海の底で、激しい海底火山の嵐の中、地層が滑り、土石流が流れ込み、火山灰が降り積もりで、激動の時代であったのだろう。
 大陸が移動する原動力はマントル対流であるが、同様にしてこの日本海形成のメカニズムも以下のように考えられている。f:id:TatsuyaYokohori:20220215142553p:plain
(注)アセノスフェア:高温で柔らかいマントル

 上図は、日本海という鍋の底を高温マントルという強火であぶっている様相である。この強火は日本海を広げようとする とてつもないエネルギーを保持しており、広がってできた裂け目に海水が入り込む度に、噴火を繰り返していたのだろう。正に火の池地獄であるが、時を経て、そんな熱かった大地の名残を露頭で確認できるのは有難いことである。