タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

なぜ地球内部は冷え切らないのか?

 3日前トンガ沖の海底火山が噴火し、日本では津波警報が発令された。それもしばらくして解除となったが、昨日からはトンガの惨状が伝わり始めた。火山噴火や地震は地球内部に溜まっている熱エネルギーの仕業となるが、46億年前の地球誕生時に溜め込んだ熱エネルギーをここまでずっと放出して来ているのに、何故未だに冷え切らないのかと不思議に思った。今日はその辺りを調べてみた。
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 初期の地球は火の玉であり、小天体や隕石の落下が相次ぎマグマオーシャンだったと考えられている。この時地球は膨大な熱エネルギーを持っていたわけだが、熱エネルギーの一部は宇宙空間へ放出され、マグマオーシャンは冷えて地殻とマントルと核(コア)ができた。f:id:TatsuyaYokohori:20220118132428p:plain
 マントル対流により火山噴火や地震が起きる。マントルは対流して地球内部(核)に蓄えられた熱エネルギーを地殻まで運んでいるので、核が冷えてきてマントル対流が弱まれば、火山噴火や地震が少なくなることになる。ところが、核の温度は4000~6000度と推定されていて、太陽の表面温度ぐらいの高さであり、なぜそんな高温を長期間維持し続けることができるか不思議でならない。
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 色々調べていたら答えが見えてきた。上図は地球の内部構造と熱の移動を示している。この図を見ると核(コア)は固体の内核と液体の外核に分かれているのが分かる。また、熱移動は、外核マントルにおいては「対流」にて、熱境界層(マントル外核および地殻と接する境界)においては「熱伝導」にて行われている。熱境界層における「熱伝導」は熱の伝達効率が悪く、言い換えればこの領域において断熱効果が高い。地球が冷めにくい一つ目の理由は、この2つの熱境界層の存在にある。もう一つの理由は外核内核の関係にある。図には青線で融点曲線、赤線で温度曲線が示されている。核(コア)の主成分は鉄であり、内核ではこの鉄の温度が融点より低いので固体になり、外核では融点より高いので液体となっている。ここで核の温度が下がってきた時どうなるかを考えてみよう。核の温度が下がるということは図中の赤線が下がることを意味する。赤線が下がると赤線と青線の交点は右にずれる。これは内核外核の境界が外側にずれ内核が大きくなることを意味する。そしてこれは、今まで外核で液体だったものが固体に変わることを意味する。この液体から固体への相変化時に潜熱(融解熱)が解放され外核に渡される。これは潜熱により外核が暖められることを意味する。地球が冷めにくい2つ目の理由はこの潜熱解放にある。
 内核ができ始めたのは今から7億年前と推定されている。7億年掛けて今の内核の大きさまで成長したことになるが、その外側にはまだ体積にして数十倍もの潜熱を保持した外核があるので、地球はまだ当分(数十億年)冷め切らないことになる。