タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

私の祖先にはネアンデルタール人がいる

 今読んでいる本には、「日本人の祖先にはネアンデルタール人がいて、日本人のゲノムには一人当たり平均数%のネアンデルタール人由来のものが含まれる」と書いてある。いやはやびっくりである。私は、現生人類のゲノムの中にネアンデルタール人由来のものがあることはニュースで知っていたが、それはヨーロッパ人の話であって、アジア人にはネアンデルタール人のゲノム混入は無いものだと思っていた。
 なおもびっくりする話があって、ネアンデルタール人とは別に、シベリアにはデニソワ人という今では絶滅した人類がいて、日本人のゲノムの中には、そのデニソワ人由来のものも一定程度存在すると言う。
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 上図は、霊長類 ヒト科の中の3種として、「現生人類(ヒト)」と「ネアンデルタール人」と「デニソワ人」が進化の過程でいつ頃分岐し、いつ頃アフリカを出たかが示されている。この本に書いてある続いての驚きの真実は、以下のような内容となる。
 「ヒトはおよそ50万年ほど前にネアンデルタール人やデニソワ人と分岐し別の種としてアフリカにしばらく留まっていた。このヒトが5万年ほど前にアフリカを出て、ユーラシア大陸の地で数十万年振りに彼ら(ネアンデルタール人やデニソワ人)と出会った時、セックスをして子供を作った。」
 これは確かに驚きである。種が違えば、生殖行為をしても子供はできないはずなのに、我々のゲノムの中にネアンデルタール人やデニソワ人由来のゲノムがあるということは、我々の祖先が彼らとセックスをして、ハーフの子供ができたことを意味する。そしてこの事実は、ヒトとネアンデルタール人やデニソワ人は同じ種であることを暗示している。
 このような驚きの真実が最近続々と発見されるのは、発掘された人骨からゲノムを抽出する技術が進歩し、旧人類ゲノムデータベースの整備も含めて、ゲノム解析が日進月歩で進化しているからである。

 私の祖先の中に、ネアンデルタール人のひいひい・・じいちゃんやデニソワ人のひいひい・・ばあちゃんがいると思うと、昔歴史の教科書で見た旧人の姿が妙に愛おしく見えて来る。そして、人種問題で白人とか黒人とか言っているけど、元を辿れば皆一つの小集団から産み落とされた子孫であり、人類皆親戚だと思えて来る。
 人には皆父と母がいて、その父や母にも同じく二人の両親がいる。この現在から過去へ繋がる系図を何世代も遡ると、その内の一端にはネアンデルタール人がいて、他の一端にはデニソワ人がいるのであろう。今仮に1世代=25年とし、100年前や1000年前に自分の御先祖様が何人いるか計算したら以下のようになった。
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 今から100年前はだいたい4世代前で、ひいひいじいちゃんとひいひいばあちゃんが合計2の4乗で16人いる。これが1000年前(平安時代末期)だと、ご先祖様の人数はべらぼうな数になる。現在の地球の人口をはるかに超えてしまうのである。もちろん、実際にはそんな風にはならない。なぜそうならないかと言えば、血縁関係の全く無い赤の他人同士の結婚だと思っているものが、実はそうではないからである。二人の家系図を何世代か遡れば、必ず共通の御先祖様がいるのである。実際20世代ほど遡れば、ご先祖様の人数は100万人を超え、当時封建時代に生きていたご先祖様の領内の人口をはるかに超えてしまう。多分二人の御先祖様の9割以上が共通となるであろう。更に上の30世代も遡ればその人口は10億人を超えるので、ほぼ全員が共通の御先祖様だったと気付くことになる。そしてこのように考えると、自分の回りは皆親戚になるのである。