タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

原子力規制基準と鉱物脈法

 石川県にある北陸電力志賀原発2号機に対し、新規制基準適合審査で初となる現地調査が行われた。そのニュースの中で「鉱物脈法」というキーワードがあったので調べてみた。
 志賀原発は断層の上に設置されており、その断層が「活断層」か否かで、この原発が今後再稼働できるか否かが決まる。f:id:TatsuyaYokohori:20211119115833p:plain
活断層」とは、後期更新世(12~13万年前)以降の活動が否定できない断層を指す。上図に地質年代を示すが、後期更新世新生代第4期の更新世の最後の年代であり、地質年代の切れ目としては中途半端なところに線引きされていることが分かる。この線引きがチバニアンが始まる77万年前が良いか、はたまた完新世が始まる1万年前が良いかは専門家と言えども自信を持って答えることができない。しかしながら一旦「基準」として決まったら、一般人には、それがまるで絶対的真実であるかのように聞こえて来る。そして『活断層の上にあるから危険』と短絡してしまう。f:id:TatsuyaYokohori:20211119120844p:plain
 上図は、活断層か否かの判断手法として、上載地層法と鉱物脈法の概要を示している。鉱物脈法とは、「12~13万年前の鉱物脈が断層を貫く形で連続していることをもって、その断層は活断層ではない」と判定する手法であることが分かる。今回の志賀原発審査では、北陸電力はどんな鉱物脈のデータを提出したのだろうか?

 さて、色々な分野に専門家と言われる人がいる。志賀原発の審査を行っているのも専門家である。鉱物脈法という手法が実績ある確立された手法であるから、それに基づいて判定される専門家の断層活性度判定は信頼できる。しかしながら、そもそも12~13万年前に線引きした基準には科学的な裏付けがない。この基準を作ったのも専門家であるが、その専門家に「線引きを1万年前にしても良いのじゃないか。1万年間活動しなかった断層が向こう50年間で動く確率はどれくらいあるか?」と問いかけたら、専門家は何も言えないのである。
 似たような話は、新型コロナ感染においても起きた。きちんとした実証科学に基づかない感染者数シミュレーションは大きくはずれ、人流が増えれば感染者も増えるという関係性も怪しいものだと分かった。いずれも、専門家の言ったことが必ずしも正しくない ということを示している。
 今年の冬は「ラニーニャの冬」になるので降雪量も多めと予想されている。私は今年1月の豪雪時、「最深積雪量」と「エルニーニョラニーニャ」の関係を調べたが、両者に関係性は無いと判断した。その道の専門家と言えども分からないことは分からないのである。(以下は1/12のブログで示した図)

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P.S.
今日は月食だった。最大で98%が地球の陰に入り込んだので、ほとんど皆既月食と言っても良かった。その天体ショーが終わろうとした時、町内夜間パトロールが始まった。きれいに晴れ渡る満月の夜に夜間パトロールを行った。拍子木の乾いた音が夜空に響き記憶に残るパトロールになった。