タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

GoToキャンペーン地元探索の旅

 今日は妻と二人で、富山県のGoToキャンペーンを利用し地元探索の旅を楽しんだ。このキャンペーンは、二人で11,000円のところに4000円の買い物券が付くので、実質一人3500円の旅となる。これで、1700円の水上ラインに乗船して、明治創業の料亭で6000円相当の料理を堪能できたので、お得感満載だった。
 地元でも、知らないところは色々あるものだ。富山駅の北側には、富岩運河環水公園があり、ここから富山港まで富岩運河が続いている。この運河を走る水上ラインに一度は乗船してみたいと思っていたが、今日やっと実現できた。新しい発見がいくつかあったが、乗って良かったと思った一番の収穫は、閘門式運河を体験したことである。
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 上図は閘門式運河の模式図である。富岩運河(富山と湾岸にある岩瀬を結ぶ運河)は、富山駅の北口から富山港(岩瀬)までの5.1kmの運河であり、途中に中島閘門という水位調節ゲートがある。今日初めてこの閘門通過を体験した。上流側と下流側の水位差が2.5mだそうだが、まず最初に上流側の閘門が開き、乗船した船がその閘門を抜けて閘室に入り、そこで閘門が閉じて、その後水位が下がり出し、下がり切ったところで今度は下流側の閘門が開き、船は下流側へ進み出るのである。水位が2.5m下がるのに5分を要したが、両岸の地面が次第に頭上を超えて高くなっていくので、この初めての体験時間はあっという間に過ぎて行った。
 水上ラインを下船して、岩瀬の老舗の料亭でコース料理を食べた。イカのお造り、バイ貝のお造り、白エビのお造りと造りづくしで始まり、次に白エビのから揚げ、白エビの練り物が入ったお吸い物と続き、カニの甲羅揚げのあと最後はフグの味噌汁とデザートで閉める形で、富山の海の幸を存分に味わった。
 その後は岩瀬の街並みを探索した。岩瀬は江戸時代から北前船で栄えたところだが、北前船主兼廻船問屋であった旧家が見学可能となっており、そこに入ると、昭和初期の豪勢なお屋敷の広さと部屋数の多さにびっくりした。そして同時に、これは個人の邸宅ではなく、会社の事務所と従業員の宿舎も兼ねている建屋だと気付いた。屋内の展示室には、当主である夫を若いうちに亡くし、その後、女手一つでこの廻船問屋を切り盛りした馬場はるさん(1886-1971)の経歴が書いてあった。夫の遺志を受け継ぎ、金儲けばかりでなく社会貢献にも努め、富山大学の前身の富山高等学校の設立に160万円(現在の20億円程度)もの寄付をした姿に、大河ドラマ渋沢栄一と明治大正昭和にかけての商人の道徳心がだぶって見えた。

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廻船問屋の前にあった北前船(1/12モデル)

 写真のたった12倍の大きさの船で、日本海から瀬戸内海まで航海したのだから、正にハイリスク・ハイリターンだったに違いない。北海道の小樽に鰊御殿ができた頃、この岩瀬にも御殿が立ち並び、街も活気に溢れていた。戦後もソ連との貿易港として栄え、富岩運河周辺は、ソ連から輸入された木材で溢れていたと言う。そんな活気が失われた街並みを歩くと、経済を回す意味を感じずにはいられない。