タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

WITHコロナ時代の経済政策

 衆議院選挙も終盤になって来たが、WITHコロナ時代の経済政策が争点になっていない。私の中では、コロナの感染防止対策についてはもう想定外のことは起こらないので、やるべきことを粛々とやるだけとなっており、もうそろそろ、コロナ後の政策について議論すべき時期に来ていると思っている。今日は、その中でも一番重要な経済政策について考えてみたい。
 この選挙戦に入る前、文芸春秋に矢野財務次官の「このままでは国家財政は破綻する」が掲載された。この中で矢野次官は「誰が総理になっても1166兆円の“借金”からは逃げられない。コロナ対策は大事だが人気取りのバラマキが続けばこの国は沈む。」と書いた。この財政規律を重んじる財務省の考え方は何度も示されており、歳出と歳入の差がだんだん開いて行く様は「ワニのくち」と称されている。
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 国民にも国の借金が膨大なことは十分周知されており、この選挙戦中でのアンケート調査で、政府の経済政策については、以下のように「財政再建」派が過半数を超える結果となった。f:id:TatsuyaYokohori:20211028131035p:plain
 この財務省の主張に対し真向から異を唱えている専門家がいる。「さざ波」ツイートで炎上し辞職した、高橋元内閣官房参与である。高橋氏の主張によれば、財務省の主張は、財務会計の中の「バランシート」の右側(負債)しか見ておらず片手落ちとなっているとのこと。国の経営の健全性をきちんと判断するには、左側の資産も合わせて見ないといけないことになる。 
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上図は、財務省が公表している連結ベースの財務諸表をベースに、高橋氏がざっくりとまとめた「日本政府のバランスシート」である。財務省元資料には、日本銀行が連結対象に入っていなかったので、上図には日本銀行の資産(日銀が買い上げた国債等)が追加されている。上図を示しながら高橋氏は「銀行券が無利子無償還なので形式負債だが実質負債でないので、日本の財政が危機でないのは、会計の基本を知っていれば明らかだ」と主張されている。高橋氏の主張は、私にも「説得力のある主張」に思える。
 上図を見ながら、国を家庭に、兆円を万円に置き換えて考えて見る。今我が家には1500万円の借金がある。しかし、妻が国債を500万円買っていて、この500万円分はチャラになるので、実質1000万円の借金があると思えば良い。この借金に対し、我が家には、127万円の 現金・預貯金、399万円の有価証券、152万円の貸付金等、これら直ぐに換金可能な金融資産が678万円有る。これ以外にも土地や家屋等の不動産があり、売れば400万円程度にはなるであろう。借金と言っても利率が非常に低いので、家計が破産する可能性は全くない。
 今日のテーマは「WITHコロナ時代の経済政策」だが、私は、今後の政策を考える上で、現状認識が非常に重要になると考える。そしてその中で一番重要なポイントは「日本は現時点で財政破綻の可能性が無い」という点である。従って、財務省の洗脳に惑わされることなく、この傷ついた経済を立て直す政策方針は「積極的財政出動」でなければならないと考える。