タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

ツクツクボウシの鳴き方の伝承方法

 今日は久々に夏の太陽が顔を出し、隣家の庭木からツクツクボウシの鳴く声が聞こえてきた。このセミが鳴き始めると『もう直ぐ夏も終わりだなぁ』と妙に過ぎゆく夏を惜しむ気になる。
 ツクツクボウシは他のセミとは違いメロディアスに鳴く。私は、このセミの鳴き方は 起承転結 だと思っている。
 起 ツクツクツクツク
 承 ツクボーシ ツクボーシ ツクボーシ ツクボーシ
 転 ツクインヨーシ ツクインヨーシ ツクインヨーシ
 結 ジー
今日疑問に思ったのは、『こんな鳴き方はどのようにして子々孫々と伝承できるのであろうか?』である。昆虫類は卵から孵化して以降、親の世話を一切受けずに育つ。セミは本能のまま鳴いていることになるが、その 鳴き方 の情報がDNAの中に書いてあるのだろうか?
f:id:TatsuyaYokohori:20210820165721p:plain
 写真はセミの腹部第1体節付近の断面を示しており、セミは発声板である tymbal とこれを振動させる tymbal muscle 及び tymbalを変形させ音を変調させる tensor muscleという2つの筋肉にて音を出していることが分かる。セミのお腹はほぼ空洞であり、ここで共鳴させるので、あんなに小さい体から あのように大音量の鳴き声が出ることになる。
 さて、本題に戻ろう。このセミの体の構造はDNAに書いてある情報によって作られる。DNAの中には体の素材となる蛋白質の作り方(アミノ酸の配列情報)が書いてある。セミの卵が細胞分裂にて幼虫になるまでの過程で、どの細胞がtymbalの幹細胞になり、それがtymbalの形と大きさになるよう、何回細胞分裂すれば良いかもDNAの中に書き込まれている。
 このように考えると、ツクツクボウシの鳴き方は、ツクツクボウシの神経回路の配線の仕方としてDNAに書き込むことができるような気がする。まず、音の大きさや音質は体の構造で決まるから、これはDNAに体の臓器の作り方として書き込まれる。次に鳴き方の方は、2つの筋肉(tymbal muscletensor muscle)をどのように同期しあるいは織り交ぜて伸縮させるかの情報、すなわち臓器である脳の「鳴き方神経回路」の作り方としてDNAに書き込まれる。
 このように考えてはみたものの、我ながら『ホンマかいな?』と思ってしまう。これは「本能はどのような形でDNAに書かれ伝承されるか?」という難しい問題である。今日一日考えたぐらいで答えは出ないであろう。