タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

新型コロナウイルスの今後

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないが、第5波の短期的見通しについては一昨日のブログで述べたばかりなので、今日はちょっと長期の見通しについて述べてみる。まずは長期ということで、新型コロナウイルスがどこから来てどこへ行くのか考えてみる。
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 上表は、各自然宿主と共生するコロナウイルスを、そのスパイク蛋白質の構成アミノ酸に関して比較したものである。この表の一行目が新型コロナウイルスであり、その下の3行は野生動物を自然宿主とするコロナウイルス、一番下は2003年にコウモリからハクシビンを介して人間に感染し広まったと言われている SARS コロナウイルスである。
 表の縦列は、コロナウイルスのスパイク蛋白質アミノ酸座位を示している。例えば第4波の元凶となった英国株(アルファ株)はN501Yと呼ばれており、アミノ酸座位の501番目がアスパラギン(N)からチロシン(Y)へ置換したことを示している。各ウイルスを縦に比較することで、スパイク蛋白質の同じアミノ酸座位で、どの程度アミノ酸が変化しているかが分かる。新型コロナウイルスは、遺伝子解析から、2行目のマレーキクガシラコウモリを自然宿主として共生するウイルスが、突然変異して人に感染し、人から人への感染力も備わったと言われている。ただこの表の4行目のマレーセンザンコウ・ウイルスとも良く似ているので、コウモリから一旦 中間宿主であるマレーセンザンコウに感染し、そこから人間に感染したのかも知れない。
 コロナウイルスは自然宿主であるコウモリと共生しており、SARSウイルスも新型コロナウイルスも、このコウモリ由来のウイルスが変異して直接/間接的に人へ感染し人間界に広まった。中国南部の一帯はコウモリを食する文化があり、新型コロナが収まった後も、第2、第3の新型コロナの源流となる可能性が十分ある。
 次に、新型コロナの今後を占ってみる。

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 上図は次に流行るのではないかと恐れられているラムダ株の変異箇所とその影響度を示している。ラムダ株はスパイク蛋白のRBD(受容体結合ドメイン)において、L452QとF490Sという2つの主要な変異を有しており、感染力並びに中和抗体耐性が向上していると考えられている。因みに受容体結合ドメインとは、人の細胞表面に存在するACE2受容体に結合して感染の足掛かりとなる領域であり、ワクチン接種で出来た中和抗体は、この領域を覆ってしまうことで感染を阻止する。
 ラムダ株はNTD(N末端ドメイン)においても変異が生じており、これにより免疫回避の能力が上がっていると考えられている。ラムダ株はペルーで生まれ、南米で急拡大して、ブラジル、チリ、アルゼンチンに深刻な被害をもたらした。今年の秋から冬にかけて、このラムダ株が全世界に広がるのではないかと懸念されている。感染阻止の切札になるのがワクチンであるが、3回目のワクチン接種(ブースターショット)も準備しておかなければならないだろう。