タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

他人事に聞こえる緊急事態宣言(続き)

 一昨日の値を更に上回り、昨日の新規感染者数は東京都で3177人、全国で9583人となり、これまでの最多をマークしてしまった。今日は昨日に引き続き、この第5波がいつピークアウトするかを、昨日とは違った観点で考えてみる。
 感染症はいつまでも拡大するものではない。感染を拡大する力と抑える力が拮抗すると拡大が止まる。ここまでの対策は、感染拡大の力を削ぐ「感染機会の潰し込み」を主要な方策としていた。ところがここに来て、ワクチン接種がある程度進んだ英国が「ロックダウン全面解除」の社会実験に打って出た。7月18日の時点で英国の新規感染者は5万人を超えており、大変勇気ある決断をしたわけだが、この社会実験は成功しそうな兆しが出てきた。
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 グラフ上は、新規感染者を英国と日本で比較したものだが、英国の感染者数が7月中旬から下旬にかけてピークアウトして下がって来たことが分かる。英国は行動制限を撤廃しながら医療崩壊することなく感染収束への道に入ったと言える。英国政府は、この社会実験をするに当たり「ワクチン接種の進展により、重症者数や死者数が低く抑えられている」ことを理由にロックダウン全面解除に踏み切った。確かにグラフ下からは、英国の新規死者数が1月の最悪時(1800人)に比べ依然低く抑えられていることが分かる。
 英国の状況は、日本においてもワクチン接種が進めば、夜明けが近いことを予感させてくれる。英国でのロックダウン解除は、日本の緊急事態宣言状態以上に感染拡大し易い状態であることを意味するが、そんな状態でもいずれ感染拡大は止まるのである。何故止まるのかをウイルスの立場で考えると以外な答えが見えてくる。英国のウイルスはデルタ株で感染力が強い。それでも1日に5万人もの新規感染者が出るまで感染が進むと、ウイルスは次の感染先を必死に探すが、その探し出した人が既に感染済み(新規感染者へうつした源流側の人)であったり、ワクチン接種済みであったりするわけで、指数関数的な拡大はいつかは止まるのである。
 それでは、いつ止まるか? これは正直言って分からない。ただ、波の立ち上がりからピークまでの期間を参考にすれば、英国ではこの期間が76日間であり、これをそのまま日本の第5波に当てはめれば、第5波の感染者数ピークは9月6日となる。
 ただ、この論法では、日本の新規感染者数が9月6日には、英国の5万人以上を人口比率で換算した「1日10万人以上の新規感染者」という悲惨な状況まで陥っていることを示し、そこまで行かないと感染拡大が止まらないことを意味する。英国では1日5万人の新規感染者でも医療崩壊しなかったが、日本では多分14000人を超える辺りで医療崩壊が始まるだろう。そして、そうなると昨日の議論に戻るが、今まで他人事だと思っていた人達が自分事だと思うことになり、感染拡大に自主的な行動変容というブレーキが掛かることになる。つまり、9月6日よりも早い時期に感染者数はピークを迎えることになると思われる。