タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

セミは不思議な生き物

 本日、北陸地方の梅雨明けが発表された。いよいよ夏到来でセミも鳴き始めた。私が小学生の頃見ていた図鑑には、セミは幼虫として土の中で7年暮らすと書いてあった。ところが、ネットで調べると、日本のセミの幼虫期間はもっと短いようだ。ネットには「実際に土の中で7年も過ごすセミは日本にはおらず、ツクツクボウシで1〜2年、アブラゼミで3〜4年、クマゼミで4〜5年くらいのようです」と書いてあった。昔の図鑑には、一体何を根拠に7年という期間が書いてあったのだろうか?
 ところで北米には、13年ゼミとか17年ゼミとか言われるセミがいて、13年毎 あるいは 17年毎に大発生する。13も17も素数であることから、これらのセミ素数ゼミと呼ばれる。因みに2021年の今年は、17年前の2004年に大発生した17年ゼミの子供が17年振りに大発生している。何故こんなセミがいて、こんな風に周期的に大発生するのであろうか?
 素数ゼミに進化した理由は、日本人科学者の仮説として以下のように説明されている。今からおよそ200万年ほど前、地球は氷河期であり北米大陸は氷河に覆われていた。気温が下がると樹木の活動レベルも下がり、樹木の汁を栄養源とするセミの幼虫の成長も鈍った。セミの幼虫期間も次第に延びていき、北米の北部で14年~18年、南部で12年~15年となった。セミの中には土中にいる幼虫期間をきちんと遺伝情報として刻み、子孫へ伝達できる種が現れ、厳しい環境の中でこの幼虫期間をコントロールできる種が、周期的に大発生して交配し子孫を沢山残す種として生き残った。このようにして、氷河期の北米北部には、14年ゼミから18年ゼミまで生き残った。f:id:TatsuyaYokohori:20210714222453p:plain
 14年ゼミから18年ゼミまでの間では互いに交配することが可能であるが、例えば15年ゼミと18年ゼミの間に生まれた混血ゼミは、15年後に羽化するものもいれば18年後に羽化するものもいる。表は、互いの幼虫期間の間の最小公倍数を示すが、混血ゼミはこの最小公倍数の年に共に羽化するため、この年が再度混血が生まれ易い年となる。混血ゼミは土中期間を上手くコントロールできないセミでもあるため、生存確率は純血ゼミより小さくなる。このように考えると、最小公倍数が一番大きくなる素数ゼミが、混血ゼミが生まれる確率が一番小さくなるため、生き残る確率が一番高くなる。このような理由で北米の北部では17年ゼミが、南部では13年ゼミが氷河期を生き抜き、現在においても周期的に大発生していると考えられる。