タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

フェーン現象が起きるメカニズム

 6月も中旬になろうとしているが、晴天が続き梅雨を飛ばして一気に夏になるのではと思わせるような今日この頃である。
 ここ富山ではフェーン現象で気温が異常に上がることが多いが、筑波大学が、過去15年間に発生したフェーン現象198事例を対象に、気象モデルとスーパーコンピュータを用いて、そのメカニズムを解析した結果、北陸のフェーン現象が今まで考えられていたメカニズムとは異なる形で起きていると発表した。
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 上図はフェーン現象が起きるメカニズムを表しており、左が力学メカニズムと呼ばれ、上空を流れる風が山を越えて吹き降ろす際、断熱圧縮で気温が上がることを示している。真ん中は従来から考えられているメカニズムで熱力学メカニズムと呼ばれ、風が山を越える時の上昇気流による降雨のため、気温が下がり切らず、山を越えた後の吹き降ろしで気温がより上がることを示している。実際は今まで、図右の 力学メカニズムと熱力学メカニズムのミックスタイプが多いと考えられてきたが、今回の研究で左の力学タイプが80%以上に及ぶことが分かった。 
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 上図は風(空気団)の流れを示し、左は力学メカニズム、右が熱力学メカニズムの場合を表している。色は空気団が移動している高度を示すが、左の力学メカニズムの場合、空気団は濃尾平野から岐阜高山を抜け、岐阜と富山の県境の山を越えるまで、800m以上の上空を移動し、富山平野で急激に高度を下げているのが分かる。一方で右の熱力学メカニズムの場合は、濃尾平野から岐阜県へ北上するにつれ、高度を上げているのが分かる。左の場合は上昇気流が起きず、岐阜県で雨は降らない。そしてこんな場合が80%を超えるというのである。
 昔、中学校の理科の先生からは、フェーン現象は熱力学メカニズムで起きるから気温が高くなると教わった。時代が変われば教科書も変わるということになる。